もはや無法地帯。殺人未遂いじめ放置事件の和歌山県海南市が見せた“異次元”対応

 

犯罪者が捜査の権限を持つに等しい海南市

これによると、第2条で所掌事務は海南市教育委員会で、いじめの事実関係を明確にするための調査を行う。とあるが、この問題は、それだけのはずは断じてない。

4年間もの間、重大事態いじめを放置し、まともな調査もせずに、議会では十分な調査をしたのだと嘘を言い続けている海南市教育委員会の行為は、極めて悪質な隠ぺいである。

つまり、この第三者委員会は、市教委と学校の対応についても調査対象にするのが普通の対応なのだ。

海南市いじめ問題調査委員会条例案の第3条にはこうある。

重大事態の関係者またはこれらの者と直接の人的関係若しくは特別の利害関係を有する者については、委員になることができない。

これが他市であれば当然に、第三者委員会はいじめのみならず、市教委と学校の対応を調査し、今後の対策提案をするのだ。

つまり、この条例案条文が規定されたのであれば、海南市の関係者、仕事などを受けた事がある者などは、当然に委員になることはできなくなる。

しかし、さすがは海南市である。

条例案では、「会議は非公開」「庶務は教育委員会事務局」が行うとされているのだ。

一般的な良識を持つ読者の皆様なら、もうお分かりになるであろう。

この第三者委員会が想定している調査には、「学校の対応」「市教委の対応と隠蔽」は含まれていないのだ。

なぜなら、これが他市であれば、または国のガイドラインの考えを踏襲するものであれば、こんなお粗末な条例は案としても恥ずかして出さないからだ。

調査対象に通常なる組織が庶務を行い、委員すら選任する。

これでは、犯罪者が判決と捜査をする権限を持つのと変わらないのだ。

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