もはや無法地帯。殺人未遂いじめ放置事件の和歌山県海南市が見せた“異次元”対応

 

「何が問題なのか」。開き直りにすら見える海南市教委の姿勢

この3月に入って、教育委員に関係者が聞いた話によれば、「教育委員会は何度も調査をしたが重大事態ではないと言っている、何が問題なのだろう」と話したということであった。

これは2月14日に行われた海南市の教育会議の議事録からも見ることができる。

解釈のしようにもよるが、「被害側がいかに騒ごうが、よほどのことがない限り、市教委が決めた委員で第三者委員会を強行し、世間を騒がせたのだから、文科省の重大事態いじめのガイドラインに反しようが、進めるのだ」と読み取ることもできる。

和歌山県教育委員会の協力を得ながら今後も進めるということだが、いじめ法もガイドラインも守る姿勢が見えず、未だに、嘘をついて自らの問題にも触れようとしない海南市教育委員会にこのまま進めさせてよいのだろうか?

海南市教育委員会は報道機関の取材に対して、不登校といじめの因果関係はないと主張するが、その実、公印の押された書面で、いじめと不登校の関係を認めているのだ。

「学校に登校できていない状況は、学校で認知したいじめと関係があると、いじめ案件として認知した平成30年6月から考えています」としっかり明記されているのだ。

この場合、文科省の重大事態いじめのガイドラインからすれば、「いじめによって不登校が起きた」ことになり、誰がどう見ても「重大事態いじめ」なのである。この場合、第三や委員会の設置要望があったら、学校の設置者である教育委員会は、第三者委員会を組織設置しなければならないのだ。もはや、いわずもがな、なのである。

被害関係者には激しい嫌がらせ、マスコミには圧力も

これはあくまで伝聞に過ぎないが、記者が聞いた話によれば、すでに海南市教育委員会は委員の人選を進めており、その中には海南市の関係士業が委員長になるという。

事実、関係者は甚大な嫌がらせやマスメディアすら圧力をかけられているという。

あくまで、噂の範疇であるが、火のないところに煙はたたない。4年間もの放置という異次元の対応をしていることを考えれば、結果を見て、ほら見た事かになるかもしれない。

いじめ問題を本気で国がやるなら、即座に厳しい法改正をせよ。

異次元の少子化対策と政府は言う、専門家らのロビイングなどもあって、進みやすい分野は小さな一歩があると聞く。いじめ問題もやってますという声も聞くが、現場にいる我々や被害者の多くは、冷めた懐疑的な見方をせざるを得ない。

なぜなら、この海南市重大事態いじめ放置事件のように、法の通り、本来であれば、第三者委員会を設置し丁寧な調査をしなければならない事件が長く放置されたり、隠ぺいされたままになっているからだ。

さらに、第三者委員会が設置されても、十分な調査をせずに「いじめはなかった」とされたり「いじめと不登校の因果関係はない」「自死との関係はない」とされた後、首長による再調査で、結果がひっくり返る事案は枚挙に暇がない。

こうした隠ぺいや不正が蔓延る中で、不正や隠ぺいを行った者が処分を受けることはまずないのだ。さらに、監査をし、調査をする機関もない。つまりは、やりたい放題なのである。

こんなもの当事者として目にして、長く苦しい調査を経ても何の体制の変更もない組織をみれば、これから考えるという対策を、甘いなーと思うのは当然だろう。

本気でやるなら、これまで問題となったような事柄が起きないように最も強く厳しい法改正で挑むのが、これまでの反省を踏まえて、こどもまんなかで考えることになるのではなかろうか。

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