5 .宮台真司襲撃犯を引きこもりにしたのもエホバの証人なのか
社会学者の宮台真司さんが刃物で切り付けられ襲われた事件は、昨年死亡した倉光実容疑者(41)が殺人未遂容疑で書類送検されて、捜査は終結しました。
男の犯行動機はわからないままです。ですが、一部、男の母親はエホバの証人の信者であったという報道が流されています。
男が宗教2世だった可能性もありますが、教義上「自殺はダメ」とのことので、おそらく信者ではないだろうと思われます。
気になるのは、近所の方の話として、容疑者の男は「野球部にいたが、高校2年ごろから、学校へ行かなくなった」というものがあります。子供が学校にいかなくなって引きこもりになったから、エホバの証人に母親が入ったことも考えられますが、それ以外の可能性もあるのでではないかと、エホバの証人・元2世信者ベリタスさん(30代・仮名)と話すなかで感じさせられました。
「部活は原則禁止の家庭がほとんどでした。なぜなら常にエホバの証人の集会など行事を優先させますので、母親が熱心な信者になったとすれば、本人の部活は休みがちになり、行けなくなると思います。そんな事情もあったかもしれません。男性は中学から野球部を続けていたということですから、その時点では、母親はエホバ信者ではなかった可能性は高いと思います」(ベリタスさん)
となれば、やはり母親が入信したことにより、子供への何らかの影響もあったことも捨てきれません。
エホバの証人の機関誌のなかで、ある人物が語るスタイルで「部活を始めたものの、巡回監督が部活を辞めるように誘導している事例が載っています」とベリタスさんは教えてくれます。
巡回監督に助けられました。監督から「兄弟はバレーボールのことを話すとき熱が入りますね」と言われました。「それを聞いてはっとしました」「のめり込みすぎていたことに気づきました。すぐに部活の友達との交友をやめ、会衆内で友を探しました」(中略)「自分が学校での活動によってエホバから遠ざかっていないかどうか、気づいたことを教えてほしい、と友達や親や会衆の長老に頼んでください」(出典:ものみの塔2011年6月号一部抜粋)
こうした公式の文章から、エホバの証人の多くが「部活はしてはいけないもの」と捉えて、「部活禁止」のルールが定着した可能性も指摘します。
6.山上徹也被告とどうにも重なって見えてくる宮台真司襲撃犯
襲撃事件の真相は藪の中ですが、男の心に対して、エホバの証人の教えの影響はゼロではなかったと考えています。安倍元首相を銃撃した山上徹也被告も、多額の献金による金銭苦を受けて、教義にも若干ですが触れていたとのことで、少なからず、母親の旧統一教会の信仰の影響は受けていたので、どうにも重なって見えてきてしまう部分があります。
今も信者の子供たちの多くが学校の部活よりも、エホバの証人の行事を優先させられていることが考えられます。その結果、社会の人たちとの交流が妨げられていることは非常に心配なところです。
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