なぜ韓国は若者にとって地獄となったのか?
韓国は1960年代以降、奇跡的ともいえるほどの経済発展を遂げてきました。また80年代と90年代の世界的な新興国経済危機に際しても、韓国はあまりダメージを負わずに済んできました。その韓国の若者たちが、なぜ経済的に不遇な目にあっているのでしょうか?
90年代のアジア通貨危機以降、韓国経済の悪い面が一気に表面化してしまったのです。アジア通貨危機の際、韓国は、一部の採算状況の良好な財閥に国の資金や資源を集中させることで、輸出を増やそうとしました。財閥の不採算部門を切り捨てさせたり、財閥の中でも財務状況が著しく悪いものは廃業させたりして、財閥をスリム化させたのです。その際には大量のリストラが生じました。
また多くの企業が正規雇用の採用を減らし、非正規雇用増やすようになりました。その結果、韓国は、財閥に正社員として就職できればかなりいい収入を得ることができますが、それ以外の人はまともな収入を得ることができない、という状況になってしまったのです。しかも、財閥に正社員として就職できる枠は非常に狭いものになってしまったのです。
2007年には、「88万ウォン世代」という本が大ベストセラーになりました。これは韓国の経済学者ウ・ソクフンと社会運動家パク・クォンイルが、当時の若者の生活を書いたものです。88万ウォンというのは、大企業に就職できなかった若者の月収のことであり大半の若者のことです。
88万ウォンは日本円で約9万円です。もちろん月収9万円では、まともな生活はできません。結婚や出産などは夢のまた夢ということになります。そのため、今の韓国の若者は恋愛、結婚、出産を諦めた「三放世代」とも言われているのです。
しかも、韓国の若者の状況は、2007年以降もまったく改善されておらず、それどころか悪化するばかりです。昨今、韓国の若者の間では、「ヘル朝鮮」という言葉が流行しています。この言葉の意味は、そのまま言葉通りに「韓国は地獄だ」ということです。日本の若者の低収入もかなり大きな問題だといえますが、韓国の場合はそれよりもはるかに深刻な状況なのです。
韓国では若者の6割がフリーターかニート
現在の韓国では、若者の高い失業率も問題ですが、それ以上に、就業率の低さという大きな問題があります。
失業者というのは、仕事を探しているけれど仕事にありつけない人のことを指します。が、仕事を探していない人、仕事を探すのを諦めた人は、失業者の中には入りません。
韓国の若者には、この仕事を探していない人、いわばニートが異常に多いのです。反日感情を引っ張っているも、この世代だと思われます。
韓国統計庁の「経済活動人口調査」によると、若干古いデータですが2014年の韓国の25歳から29歳までの男性の就業率は69.4%に過ぎませんでした。
つまり三人に一人が就業していないのです。
今の韓国の就業事情はこの当時よりも悪くなっているので、この世代の就業率もさらに下がっていると考えられます。
この世代は、だいたい学業も終えており、兵役も済んでいることが多いので、本来はもう就職していないとなりません。
先進国ではこの世代の就業率はだいたい80%を超えるので、韓国は10ポイントも少ないことになります。
またこの数値が10ポイントも高いということは社会に与える影響がかなり大きいのです。
この数値が高いということは、「働いていない若者」が多いということです。
韓国では3人に一人の若者が働いていないのです。
先進国では働いていない若者は5~6人に一人くらいなので、ざっくり言って、「働いていない若者」が先進国の倍くらいいるということになります。
また韓国の若者は、働いている人の3割以上が非正規雇用です。
これらの状況を加味すると、韓国の若者は6割近くが非正規雇用かニートということになります。
韓国は、「異常に若者が働いていない国(働けない国)」なのです。
次回は「韓国の若者はなぜ正社員になれないのか」と追究し「韓国経済を支配する前時代的な財閥の存在」をご紹介していきたいと思います。
この記事の著者・大村大次郎さんのメルマガ
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