リサイクル繊維の問題
但し、リサイクル繊維にも問題はあります。回収、分別、分解等にコストが掛かるため、割高になります。しかも、リサイクルすることで素材の純度は落ち、繊維は短くなるので、素材としての品質が落ちます。つまり、高くて品質の悪い商品になってしまうということです。
安くて良い商品の正反対の商品ですので,コストパフォーマンスを追求したら使えません。商品そのものよりも、社会的意義を優先するという姿勢が必要になります。
リユースや古着もサステナブルな取り組みといえます。リユースや古着を利用することにより、新たな資源の消費や廃棄物の発生を抑えることができ、環境に与える負荷を軽減することができるからです。
また、古着の需要が高まることによって、流行に敏感な若者を中心にサステナブルなファッションに関心を持つ人々が増加し、環境や社会に配慮したファッション産業の発展を促すことも期待できるでしょう。
ただし、古着の需要が高まれば、古着市場の価格が高騰したり、古着輸出に伴う現地での環境問題や労働者の搾取などの問題が発生することも考えられます。
総じていえることは、必要以上の量を生産しないことです。なるべく重要に見合った供給をすることで、環境負荷を減らすことができます。例えば、受注生産を実現すれば、余分な商品を作ることもなくなるでしょう。
委託仕入れの小売店が売り逃しを防ぐために、欠品に対してペナルティを課すという商習慣も改善する必要があります。ペナルティを防ぐために、常に余分な在庫を持たなければならないからです。そう考えると、委託仕入れや消化仕入れという仕組みも、再考すべきでしょう。
小売店が必要量だけを仕入れて、商品を売り切るという姿勢があれば、廃棄も減るからです。
このようにサステナブルなファッションビジネスを実現するには、サプライチェーン全体が短期間で最大の売上を求めずに、長期的な視野に立ち、持続可能な売上を目指すというビジネスモデルの転換が求められるのです。
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