商品も人も使い捨てるファストファッションに対抗。スローファッションの概念とは

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3.地域経済を活性化する「ローカルファッション」

グローバリズムが進展するにつれ、地球温暖化、環境破壊、過剰消費の問題等が顕在化してきました。そこで、グローバリズムと対極のローカリズムを考えることで、新たな方向性が見えてくるのではないでしょうか。

グローバルファッションは、世界共通のトレンドに基づく、世界共通の商品を世界共通価格で販売するビジネスモデルです。ローカルファッションはその反対で、ローカル独自の歴史や文化に基づいた、ローカル限定の商品ということになります。

例えば、クラウドファンディングを想定すると、グローバル商品よりも、ローカル商品の方が生産背景やデザイナー、技術者の顔が見えるので、支援する人も多いでしょう。地元発の商品を支援することは、地域経済への支援につながるからです。

グローバルファッションは巨大資本によって運営されますが、ローカルファッションは中小零細企業や小規模なコミュニティが中心に運営されます。効率追求、コストダウン追求をすれば、グローバルファッションに行き着きますが、社会貢献や社会参画を重視するとローカルファッションに行き着きます。

これは、消費の目的が経済合理性なのか、地域経済活性化なのかによります。経済合理性を追求することは、消費者のメリットになりますが、その消費活動の利益が地元に還元されることはありません。しかし、ローカルファッションを支持することは、地元経済を支援することになるのです。

グローバルファッションを否定するのではなく、一定の市場シェアをローカルファッションが担うことで、消費者の選択肢は増えることになります。

ローカルファッションには、以下のような社会的意義があります。

(1)地域経済の活性化

ローカルファッションを支援することで、地域の小規模なファッション企業やデザイナーを支援し、地域経済を活性化することができます。また、地域の生産者やサプライヤーとの協力関係を築くことで、地域社会全体の経済活動が促進されます。

(2)環境に優しいサプライチェーン

ローカルファッションは、輸送距離が短いため、環境に与える影響が少ないとされています。また、ローカルファッション企業やデザイナーは、地元の材料や資源を使用することが多いため、環境に配慮したサステナブルなファッションの生産が可能となります。

(3)文化や地域のアイデンティティの維持

ローカルファッションは、地域の文化やアイデンティティを反映したデザインや素材を使用することが多く、地域の歴史や伝統を維持する役割を果たします。また、ローカルファッションは、地域の人々の生活スタイルや気候に合わせたデザインを提供することができます。

(4)地元の雇用促進や労働者権利の保護

ローカルファッション企業やデザイナーは、自社で生産を行うことが多いので、地元の人材の雇用を守ることにもつながります。地元経済に貢献することで、地元の消費者の支持を得ることもできます。

(5)消費者のエンパワーメント

ローカルファッションは、生産過程や素材の情報を提供することが多く、消費者が製品についてより詳細な情報を得ることができます。このような情報提供は、消費者がより持続可能なファッションの選択をすることを促進する役割を果たします。

(6]コミュニティの形成

ローカルファッションには、地域社会を結びつける役割があります。地元のファッション企業やデザイナーを支援することで、地域のファッション文化やコミュニティを形成することができます。

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