狙われる日本人。中国「ロシアへの武器供与」がもたらす最悪シナリオ

2023.03.28
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ワシントン・ポスト紙は3月18日、ウクライナでの戦闘でロシア軍が中国製の弾薬を使用したという情報を報道しました。この問題について論じているのは、外務省や国連機関とも繋がりを持ち、国際政治を熟知するアッズーリ氏。アッズーリ氏は今回、中国によるロシアへの武器供与が世界に及ぼす悪影響を考察するとともに、現実化しかねない「日本にとっての最悪のシナリオ」を解説しています。

中国がロシアへ武器供与疑惑。日中関係悪化を助長する愚行

ウクライナ情勢で緊張が続くなか、ホワイトハウスは18日、弾薬不足に陥っているロシア軍が戦場で中国製の弾薬を使用している可能性に言及した。これが中国から直接供与されたものなのか、もしくは中国製の弾薬を使用する第三国から持ち込まれたものかについては分かっていないが、中国やロシアと良好な関係にあるベラルーシから経由してロシア軍に供与されている可能性もある。米国は仮に中国が直接支援しているとなれば、深刻な結果に繋がると警告している。

米政府関係者の中では、以前からこれについて懸念が示されていた。2月、ブリンケン国務長官は、「中国がこれまでロシアへ供与してきた殺傷力のない装備に加え、殺傷能力のある兵器を供与するとの情報がある」と明らかにし、サリバン大統領補佐官も「中国は依然として武器供与を検討対象から外しておらず、仮に供与すれば大きな過ちである」と警告した。また、北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長も「中国がロシアに武器支援を検討している兆候を確認した」として中国に自制を呼び掛けた。

軍事侵攻を正当化しかねぬ中国の和平仲裁案

中国はこれに対して強く反発し、「戦場に武器を提供し続けているのは米国だ」と武器供与について否定している。中国は2月、「ウクライナ危機の政治解決に関する中国の立場」と題する事実上の和平仲裁案を発表し、全ての国の主権と独立、領土の一体性の保障など計12項目を提示し、核兵器使用や原子力発電所への攻撃に反対するとした。

中国としては和平仲裁案を示すにより、中国の中立性や客観性を内外に強くアピールしたい狙いがあろうが、この仲裁案では大前提となるロシア軍のウクライナ領土からの撤退についてそもそも記されておらず、「このとおりにロードマップを進めると、ロシアによる侵攻がそもそも正当化させることになる」との批判の声が欧米から挙がっている。米国としては、こういった和平仲裁案の課題や中国の狙いを捉え、武器供与の疑惑を排除していないのだろう。

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