恐ろしい同調圧力。神戸市が17年間も隠蔽し続けた凄惨いじめ全真相

 

公務員が堂々と違法行為。民主主義を蹂躙する神戸市教委

問題はあまりに多岐に及ぶので、筆者が特にここを考えて欲しいということを取り上げると、

いじめの酷さは然ることながら、この隠蔽の深さと、国民の権利と言える情報公開制度への挑戦である。

行政機関の保有する情報の公開に関する法律
第1条 この法律は、国民主権の理念にのっとり、行政文書の開示を請求する権利につき定めること等により、行政機関の保有する情報の一層の公開を図り、もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的とする。

つまり、情報公開制度は、国民主権と民主主義の根幹ともいえる法律であるのだが、神戸市17年間いじめ隠ぺい事件においては、この法律が公務員である市教育委員会の職員らによって、蹂躙されているのだ。

本件では、被害者家族も支援者も、さらには取材に当たる報道も、行政に対して、「情報公開」としての開示請求手続きを行ってきた。

そして、上にもあるように、学校が調査し報告書として提出していた文書などは、「不存在」と回答されてきたのだ。ところが、これは存在しており、勉強会と称した神戸市教育委員会幹部による会議でも使われていたはずなのだ。

ある意味、公然の秘密状態であった資料が、市教委が行った隠ぺいをあからさまに表すものであるから、無かった事にしたわけだ。

つまり、公務員が公務上も法律上もその存在を認めなければならないことを、自己保身と同調圧力、神戸市教委のお家芸なのか隠ぺいを引き継ぐという伝統によって、国民の権利も民主主義の根幹も一切を無視しているのである。

報道によれば、神戸市教委は「資料が公文書に当たるかどうかの判断は誤ったが、故意に行った隠ぺい行為には当たらない」と回答している。

さすがは、独立した行政委員会である。自己の行為を結論まで決めつけ、安っぽい詭弁で自らの非行を無かった事にしようとしているのだ。

そもそも、当時はある事を知りつつ「不存在」としていたわけで、今となって、「公開か非公開と言えば非公開」とするのは、問題のすり替え以外のなにものでもない。

もはや神戸市教委のお家芸。止まらぬ隠蔽の連鎖

そして、さらに筆者が恐怖を覚えるのは、脈々と続いた隠ぺいの連鎖だ。

そもそも教育長という名誉職は、数年で代わる。代々その地域の教育委員会の事務局などが教育行政エリートを送り込むのだ。

いや違うよ、首長が任命するんだよという人もいるだろう。確かに法ではそうだ。そして、実際に任命を受けて教育長になっている人もいる。しかし、多くは、首長が選挙で決まると、その先の人事で、次の教育長人事が伝わり、認めるか認めないかを決めるだけだ。

まあ、異論もあることだろうからこの辺にしておくが、現実なんてこんなもんだ。

話を戻すが、本件、神戸市17年間いじめ隠ぺい事件は、その名の通り、事件発生は2005年であり、すでに被害男児は成人しているほど時間が過ぎている。

その間に何人の教育長が替わり、何人もの責任者が替わっただろうか。この17年間、隠ぺい問題の問題提起がなかった時期はない。常にその時の担当者がいて、最高責任者であろう教育長がいたわけだ。

議会でも問題になっている。その都度、この隠蔽文書やその事実が目先にあったはずなのだ。

しかし、隠ぺいは脈々として引き継がれてきたのだ。

これはあまりに恐ろしいことだといえるだろう。自浄作用も機能もない組織が行政であったら、その決定に従わざるを得ない市民は、どんなに間違っていようが、右だと決まれば右、左だと決まれば左にならざるを得ない。

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