バフムトに到着した攻撃の主役レオパルト2戦車隊
プリゴジンは、市内攻撃兵力をバフムト郊外側面の防衛に回さないと、逆包囲される可能性があると、危機感を持っているようである。このため、兵力不足で攻撃ができないようだ。
ウ軍は、西と南から市内のワグナー軍を逆包囲する作戦であり、プリゴジンの心配は当たっている。ウ軍がバークヒフカを取れば、バフムトを徐々に包囲し始めるだろうとプロゴジンは言う。
そして、攻撃の主役であるレオパルト2戦車隊が、バフムトに到着した。ここからが、春の攻勢を開始することになる。
しかし、米軍の高官は「ウ軍は待望の反攻作戦に向けて形成作戦を開始した」と述べているが、形成作戦自体は「敵を欺くためにも行われる」と付け加えており、一般人が「戦場で何が起こっているのか」を予測するのは本当に難しい。ということだそうだ。
バフムトでの反転攻勢は、欺くために行い、ザポリージャ州に展開するロ軍をバフムトに応援で送ると、今後はザポリージャ州が手薄になる。
プーチンを「幸福なじいさん」呼ばわりしたプリゴジン
前回からの続きでは、ワグナー軍は、ロ軍から弾薬が提供されることになり、バフムト攻撃を続行していたが、要求の10%程度しか弾薬が届かないとプリゴジンはクレームを付けた。
しかし、プリゴジンは9日、「我々が(バフムトの)陣地を離れたら、祖国に対する国家反逆罪になると明確に書かれていた」とロ軍幹部から言われて、渋々、バフムトにいる状態である。
これに対して、プリゴジンは、ロシアの戦勝記念日に公開した動画で「一人の幸福なじいさんがロシアによるウクライナ侵攻はロシアの勝利で終わると確信している。このじいさんが最終的にクソ馬鹿であることが明らかになれば、国はどうすればいい?戦争にどうやって勝てばいいのか?」と述べたが、バフムトでの戦闘を見ると、それが実感することになる。
プリゴジンは、後援者の一人である、ロシアの億万長者にしてプーチン大統領の「個人銀行家」ユーリー・コヴァルチュク氏と連絡が取れなくなったというが、この動画が影響している。
プーチンは、プリゴジンの言葉を聞いたら激怒すると思うが、しかし、これまでプーチンを支持していた戦争推進派が、幻滅している。そして、プーチンに愛想をつかした極右勢力が、最前線で勇敢に戦うプリゴジンを支持するようになっている。
しかし、ウ軍の大攻勢を受けて、バフムト死守の方向にワグナー軍はなっているようだ。プリゴジンの政治生命も危うい。それと、英国は、ワグナー軍をテロ組織に指定する方針だという。金融制裁を科すとされ、ワグナー軍の資金調達にも影響が出るとみられる。
このため、プリゴジンは、ジョイグ国防相に「バフムトに来て、ロ軍の状況を見ろ」と要求している。
それと、ロシアのミルブロガーによると、「ソレダル方向では、ウ軍は接触線全体(長さ95キロメートル)に沿って攻撃作戦を実施した。ウ軍は1,000人以上の軍人、最大40台の戦車と特殊装備を用いて26回の攻撃を開始した」。ロ軍は逃げ出すものがいるという。
ということで、ボダニウカからウ軍第56歩兵旅団が、ロ軍陣地を攻撃し、ここをロ軍第200独立親衛自動車化狙撃旅団が守っているが、後退するロ軍兵士に対して督戦的な行動を行っている。バークヒフカを取られるとバフムト逆包囲されることになる。プリゴジンの心配も分かる。
それと、ザルジニー軍総司令官とシルスキー陸軍司令官は、ともにバフムト地域で作戦指揮をしているようであり、ロ軍は、この2人を殺したと嘘の情報を流している。
しかし、ゼレンスキー大統領は最高司令官本部会議を開催し、「私たちは、シルスキー将軍の報告を聞いた。その部隊は圧倒的な力で敵を阻止し、さらには敵をある方向に押し戻したそうです」と発言した。
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