4.新たなラグジュアリーはオーガニック
ラグジュアリーとは、「贅沢な、豪華な」などの意味。ラグジュアリーブランドは、歴史と信用のある高級ブランドです。
ラグジュアリーブランドの商品企画も変化しています。ゴージャスで装飾的なファッションではなく、環境や人権、動物愛護など、社会的課題を優先しています。
食の分野では、オーガニック野菜、オーガニック料理、オーガニックワイン等がセレブの関心を集めています。アパレル製品では、オーガニックコットンが人気です。
オーガニックは「有機」を意味します。オーガニック栽培では、合成肥料、合成農薬等を使わずに栽培します。オーガニック化粧品は、合成添加物を含みません。
石油由来の合成物質や化学物質が増えたのは、それを使うことで、製造過程のコストや時間を短縮し、大量生産が可能になります。
ファッションにおいても、合成染料で染色した合成繊維の製品が主流です。購入したあとも、合成洗剤と合成香料入りの合成柔軟剤でクリーニングしています。
合成物質は便利ですが、使う人の体質やコンディションによっては、アレルギーを誘発したり、肌トラブルが発生することもあります。
また、合成農薬や合成肥料を使い続けると、土壌が汚染されます。有機的なものであれば、自然の中で分解し、循環していきます。
経済的に余裕のない人は、多少健康に悪くても、安価な合成製品を購入します。しかし、ラグジュアリーブランドを好むような富裕層は、高くても安心安全なオーガニック製品を選びます。
今後の富裕層向けブランドや商品は、オーガニックがキーワードとなります。同時に、大量生産ではない、伝統的な手工芸や職人の手仕事も高く評価されます。
その意味では、単にデザインでの差別化ではなく、素材や技術、生産方法の差別化が求められます。そして、それを顧客に訴求しなければなりません。
編集後記「締めの都々逸」
「バブルもデフレも 経験したぜ これから日本の出番だぜ」
なぜ、日本だけ不況で給料も上がらないんだ、と絶叫していましたが、ようやく世界が追いついてきました。世界中が不況となり、インフレやデフレに苦しんでいます。
日本が不況時代をどのように乗り切ったのかは、ノウハウとして売れるのではないか、思います。
以前、中国の知人に「このままだと不動産バブルが崩壊するよ」と言ったのですが、「中国では一度も不動産価格が下がったことはないんです。だから、バブル崩壊なんて想像もしていません」と言われました。でも、本当にバブル崩壊になりました。不況を乗り切るノウハウ、高齢化を乗り切るノウハウ、理不尽な隣国と付き合うノウハウも売れそうですね。あるまで、日本にノウハウがあればの話ですが。(坂口昌章)
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