守られぬ法律。第三者委員会という「いじめ擁護委員会」が乱立する絶望的状況

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2013年9月にいじめ防止対策推進法が施行されてから約10年。しかし日本全国で「法律破り」が横行し、いじめ被害者が苦しい立場に立たされ続けている状況は全くといいほど改善されていません。なぜこのような現状が放置され続けているのでしょうか。今回のメルマガ『伝説の探偵』では現役探偵で「いじめSOS 特定非営利活動法人ユース・ガーディアン」の代表も務める阿部泰尚(あべ・ひろたか)さんが、各地の学校や教育委員会で相次ぐ、被害者を追い詰める許しがたいいじめ対応を紹介。さらに抜け穴だらけと言わざるを得ないいじめ法の迅速な改正を強く求めています。

いじめ防止対策推進法から10年。調査対象者が「いじめ第三者委員会」を設置する異常

2013年にできたいじめ防止対策推進法は10年、一度大きく改正か!?という動きがあったが、法律改正の中心である国会議員団の座長が突如、校長会などの反発を聞き入れ、とんでもない折衝案を、座長試案として発表し、調整がつかない状態となり、とん挫した。

この大きな改正のときの議連の資料や会議の資料をみると、いじめ防止対策推進法は発足当初から悪用する教育委員会があるなど問題点があったから、それを未然に防止したり、詭弁が通じないような工夫がなされていた。

しかし、マスコミに公表したらどうなるか知らんぞと警告して公表された(事実上は公表されたと言えない)という座長試案は、全てを後退させ、自由に隠ぺいが可能な改正案であり、到底受け入れ難いものであった。

当時、私も伝説の探偵で取り上げている。

【関連】いじめ探偵が告発する「いじめ防止法」座長試案の許せぬ改悪部分

私が思うに、この時以降、あきらめムードが漂い改正の兆しは小波程度しか起きていない。

例えば、現在政府が推進する「少子化対策」において、いじめの問題は子育て世帯が直面する脅威であると言える。なぜなら、年間60万件以上も発生し、連日いじめ自死ではないかというニュースを目にするからであり、そこには教育機関や司法が上手く対処できていない問題が証拠付きで浮き彫りになるからだ。

しかし、法改正についての議題にも上がらなければ、実際にご遺族から話を聞いていくなどのヒアリングも行われたとは聞こえてこない。一方、全国の教育委員会からの報告を文科省は受けているはずで、こちらについてはニュースにいちいちならないが、耳を傾けている状態だと考えられるのだ。

いじめ防止対策推進法立法当時に立法側にいた関係者に話を聞く機会は、比較的多い方だと思われるが、皆声を揃えて、まさかここまで被害者側と教育委員会側が対立するとはおもわなかったし、ガイドラインすら守らない教育委員会などが多発するとは思わなかったと言う。

確かにそれはそうだ。教育委員会自体、その職員は公務員であり、法律を順守するのが当然の立場である。守らないはずはない立場が、法律を悪用したり無視をする。再調査が起きれば、それまでの調査が問題だらけであったと事が発覚するのだ。

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