防衛費“大増税”で日本国民を殺す、岸田文雄「バイデン発言に抗議するフリ」の姑息

 

岸田が参院予算委員会で堂々とついたウソ

昨年5月にバイデン大統領が来日したさい、共同記者会見で岸田首相は「私から、日本の防衛力を抜本的に強化し、その裏づけとなる防衛費の相当な増額を確保する決意を表明した」と明らかにした。それについて5月31日の参議院予算委員会で、共産党の小池晃議員との間で、こんなやりとりがあった。

小池議員 「総理は日米首脳会談で防衛費の相当な増額を表明されました。総理、これは対米公約ということですね」

 

岸田首相 「そもそも我が国の防衛費でありますので、これは我が国が主体的に決めるものであります。決して対米公約などというものではないと考えております」

 

小池議員 「だって、バイデンさんの前で、独り言じゃないでしょう、バイデンさんの前で表明して、それで日米両国で確認したって報道されているんだから、これ対米約束じゃないですか。じゃ、約束しなかったんですね」

 

岸田首相 「約束したという言葉の響きに、何か嫌々ながら、米国に何か求められたというような意味合いを感じるので、あえて否定させていただきました」

つまり、米国大統領に防衛費の増額を求められ、そうしますと約束したことはないと明言したのだ。そんなことはないだろう、もともと米側の要求だったではないかと、それまでの経緯を知る多くの日本人が思ったはずである。

「GDPの2%」はトランプ米大統領が2020年、NATO諸国など同盟国に要求した数字だ。各国の軍事費を増やせば、その分、米軍の負担を減らせる。日本に対しても同じような働きかけがあったに違いない。

米国は中国を封じ込めるため、日本に大きな役割を求めている。台湾に中国が武力行使するようなことがあれば、自衛隊に働いてもらい米軍兵士の命や兵器の損害を最小限に抑えたいというのが米国の本音だ。全面戦争に発展することさえなければ、米軍の損失は最小限にとどまり、米中の経済関係も、一時的にはどうであれ、持続できると踏んでいる。オフショア・バランシングといわれる戦略だ。これを安倍・菅政権は積極的に受け入れてきた。岸田首相もまた、安倍氏の防衛政策を踏襲した。

昨年5月にバイデン大統領が来日したあと、岸田政権は「GDPの2%」への防衛費増額を実現するため新たな安全保障政策の策定を急いだ。具体的には、同年12月に国家安全保障戦略など安保関連3文書を改定したということだ。国会での議論も経ずに、防衛政策の大転換が閣議決定された。

どこが変わったかを端的に言うと、相手のミサイル発射拠点などを直接攻撃できる「敵基地攻撃能力」(反撃能力)を保有することにし、23年度から27年度までの5年間の防衛費を、それまでの1.5倍の約43兆円へと増額した。これで、27年度にはGDPの2%に防衛予算が膨らむことになる。

「敵基地攻撃能力」を担う兵器は、敵の対空ミサイルの射程外で安全を確保して発射できるという触れ込みの「スタンド・オフ・ミサイル」だ。導入のための予算として5兆円が組まれている。

その中には、三菱重工の12式地対艦誘導弾(SSM)、極超音速誘導弾、川崎重工の島嶼防衛用高速滑空弾など国産ミサイルの開発、量産が含まれるほか、ノルウェーのコングスベルグ社が開発し米軍向けにレイセオン社が製造するJSM(F-35A搭載)、ロッキードマーチン社製のJASSM(F-15能力向上機搭載)の取得が計画されている。

米国製の巡航ミサイル「トマホーク」を2023年度に約500発一括で購入することも新たに決まった。トマホークを搭載できる潜水艦の保有もめざしている。

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