情報ピラミッド、使用上の注意点
私は常々、「情報ピラミッド」について言及しています。世界には、いくつかの情報ピラミッドがある。
・米英情報ピラミッド(日本はこの中にある)
・欧州情報ピラミッド
・クレムリン情報ピラミッド
・中共情報ピラミッド
・イスラム情報ピラミッド
など。情報ピラミッドには、「使用上の注意」があります。それは、
・米英のダークサイド情報は、米英情報ピラミッド内では見つからない
・米英のダークサイドを知りたい人は、他の情報ピラミッドにアクセスしなければならない
要するに、米英のダークサイドは、「クレムリン情報ピラミッド」や「中共情報ピラミッド」に流れているということです。ちなみに私は、2014年に集英社から出版した『クレムリンメソッド https://www.amazon.co.jp/dp/4797672811』の中で、「バイデンの息子のハンター・バイデンが、ウクライナのエネルギー企業ブリスマの取締役になった」という事実を紹介しています。これは、「クレムリン情報ピラミッド」からの情報でした。この件が日本や欧米で騒がれる5~6年前から、私はこの事実を知り、本に書いていたのです。
では、情報ピラミッドの「間違った使い方」とは何でしょうか?
皆さんが、たとえばロシアのダークサイドを知ろうとすれば、「クレムリン情報ピラミッド」にアクセスしてもわかりません。クレムリン情報ピラミッドには、「クレムリンに都合のいい情報しか流れていない」のですから、しかし、既述のように、「クレムリン情報ピラミッド」には、米英の支配層に都合の悪い情報は出ています。
今日本の言論空間、特にネットで起こっていることは何でしょうか?問題は?「アメリカが諸悪の根源論者」が「クレムリン情報ピラミッド」や「中共情報ピラミッド」の情報を、あたかも真実であるかのように垂れ流していることです。「台湾戦争をしたいのは、アメリカだよね。軍産複合体を儲けさせるために」とか。
これらの情報は、中国から流されているフェイクでしょう。実際のアメリカの動きを丁寧に追っている人は、アメリカが、台湾有事を望んでいないことがわかります。
繰り返しますが、アメリカ(と米軍産複合体)が戦争を望むなら、台湾に独立宣言をさせるだけでいい。ところが、実際のアメリカは、「一つの中国政策を支持する」と宣言しています。
世の中には、洪水のように情報があふれています。その中でテレビ情報だけ見ていれば、あまり真実はわからないのでしょう。そこを、中ロは突いてきます。
「あなた、テレビだけ見ていては真実はわかりませんよ。だって、日本は、米英情報ピラミッドの支配下にあるのですから」
そして、「中共情報ピラミッド」「クレムリン情報ピラミッド」の情報を、あたかも「真実」であるかのように吹き込みます。しかし、「情報源」は隠されているので、受け取り手は、自分が「中共情報ピラミッド」「クレムリン情報ピラミッド」に洗脳されていることに気がつかないのです。
彼らはテレビとは違う情報を知ったことで満足し、「世間の人たちは『情報弱者』だ」などといいます。しかし、実をいうと彼らは、中ロの情報ピラミッドに洗脳されているだけなのです。
リアルに戦争が起こっている今、激しい情報戦が起こっています。私たちは、米英情報ピラミッドにも、中共、クレムリン情報ピラミッドにも踊らされないよう気をつけましょう。
(無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』2023年7月19日号より一部抜粋)
image by: lev radin / Shutterstock.com
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