捜査も会見も突然中止。木原誠二官房副長官の妻「元夫不審死事件」をめぐる“忖度とタレ込み”の裏

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7月6日発売の「週刊文春」のスクープで明らかになった、木原誠二官房副長官の夫人が5年前、元夫の不審死事件を巡り事情聴取を受けていたという衝撃的な事実。しかし程なくして捜査は突然の幕引きを迎えることとなってしまいます。その裏には一体どのような力が働いていたのでしょうか。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では著者で元全国紙社会部記者の新 恭さんが、週刊誌報道を基に独自の推理を展開。さらに誰が5年も前の騒動を今このタイミングで文春にリークしたのかについても推測しています。

あからさまな忖度。木原官房副長官夫人の「元夫不審死事件」が捜査中止の裏事情

内閣官房副長官、木原誠二氏の妻の元夫が2006年に不審死した事件で、元夫の父親が7月12日に記者会見する予定だったが、直前になって、とりやめになった。

理由はわからない。わかっているのは、週刊文春がこのところキャンペーンを続けている元夫の死にまつわる木原夫人の疑惑について、元夫の遺体を発見した父親の口から、何かが語られるだろうと、メディア関係者が予想していたことだ。

木原氏は文春の記事に関し「事実無根の内容であるばかりでなく、私と私の家族に対する想像を絶する著しい人権侵害だ」とする「ご通知」なる文書を司法記者クラブ宛てに送付した。

言うまでもなく木原氏は岸田首相の最側近である。メディアにとっては、官邸の最重要な取材源でもある。文春砲の衝撃にもかかわらず、この件に関してこれまで沈黙してきたテレビ、新聞など主要メディアは、木原夫人の元夫の父の会見が行われた場合、内容しだいでは、木原副長官がらみの一大スキャンダルとして取り上げざるを得なくなるるところだった。

ただでさえマイナカード問題などで内閣支持率が急落している岸田政権に、壊滅的なダメージをおよぼす可能性があっただけに、会見中止の背後で何があったのか、気になるところだ。

週刊文春7月13日号の記事によると、その出来事は06年4月10日、風俗店勤務、安田種雄さんの東京都内の自宅で起きた。夜中の3時ごろ、種雄さんが居間で血まみれになって死んでいるのを、貸していた車を返してもらおうと訪ねてきた父親が見つけた。当時、種雄さんの妻だった木原氏の現在の妻、X子さんは、子供二人とともに隣の寝室で寝ていて、気づかなかったと警察に供述した。

種雄さんは、ナイフで頭上から喉元に向かって刺され、肺近くに達する失血死だった。体内からは致死量の覚せい剤が検出された。警察の当初の見立ては覚せい剤乱用による自殺で、その後、未解決事件(コールドケース)という扱いになった。

それから12年後の2018年春になって、警察が再捜査をはじめた。都内に100余りあるコールドケースを掘り起こすなかで、担当刑事が、ナイフへの血の付き方が自殺というには不自然なことに気づき、この事件に疑念を抱いたのだ。

X子さんは、種雄さんと死別した後、銀座の高級クラブで働いていたが08年、元財務官僚で衆議院議員の木原氏と出会い、14年に女児を出産し、結婚した。

18年春からの再捜査によって、事件は解決に向けて動き始めた。種雄さんが亡くなった当時、X子さんと親密だったY氏が、事件当日、自家用車で現場方面に向かっていたことがNシステムの捜査で判明したのだ。

覚せい剤事件で刑務所に収監されていたY氏に警察は粘り強く事情聴取を重ねた。その結果得られた供述は驚くべき内容だった。

Y氏が安田宅に行くと、種雄さんが血まみれで倒れており、X子さんは「夫婦げんかになって、殺せるなら殺してみろと夫に刃物を握らされたので切ってしまった」とワケを話したというのである。

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