捜査も会見も突然中止。木原誠二官房副長官の妻「元夫不審死事件」をめぐる“忖度とタレ込み”の裏

 

誰が5年前のネタを週刊文春に持ち込んだのか

違う角度からこの一件を見てみよう。なぜ今になって、このネタが週刊文春に持ち込まれたのかという疑問について、想像をめぐらせてみたい。

5年前に木原夫人が捜査対象になっていたことを知っているのは、本人と木原氏を除けば、捜査関係者、安田さんの父親、Y氏、そして、再捜査が行われた当時の官邸、自民党本部の一握りの人々しかいないはずだ。

岸田首相の最側近を直撃する政治的陰謀という説がある。このタイミングでリークしてメリットがあるのは政敵くらいなもの、という憶測からだろうが、興味深い見方だ。

第二次安倍政権の時代、菅官房長官のもと、杉田・北村コンビを中心とした“官邸ポリス”による、不都合な人物のスキャンダル発掘がさかんだった。加計学園問題で安倍首相に不利な証言をした前川喜平・元文科省事務次官が、出会い系バーに出入りしていると読売新聞にリークして書かせたのは、菅官房長官の意を受けた杉田副長官ではなかったかと見られている。

当然、木原氏の妻への捜査についても、逐一、菅官房長官の耳に入っていたに違いない。当時、警察庁長官官房長だった菅氏のかつての秘書官、中村格氏からの情報ルートもあったかもしれない。

かりに菅義偉氏の周辺にいる人物が、その時に得た情報をもとに週刊文春にリークしたとすれば、その目的は、権力の奪回をめざす菅氏が、長期政権を期する岸田首相にダメージを与えるためということになるだろう。来秋に総裁選をひかえ、今年中にも衆議院解散が噂される。仕掛けるタイミングとしては不自然ではない。

いずれにせよ、岸田首相としては、木原氏をこのまま官房副長官にとどめておいてよいのかどうか、近く予定される内閣改造での判断を迫られることになった。

木原氏は岸田首相が頼りとする「軍師」であり、安倍元首相における今井尚哉秘書官のように「影の総理」とさえ呼ばれるほどの存在だ。今後、この件をめぐる報道がどう展開してゆくかは分からないが、二人の間柄に衝撃弾を打ち込んだだけでも、文春にリークした人物の目的は、ほぼ達せられたといえるのかもしれない。

この記事の著者・新恭さんのメルマガ

初月無料で読む

image by: 木原誠二 - Home | Facebook

新恭(あらたきょう)この著者の記事一覧

記者クラブを通した官とメディアの共同体がこの国の情報空間を歪めている。その実態を抉り出し、新聞記事の細部に宿る官製情報のウソを暴くとともに、官とメディアの構造改革を提言したい。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 国家権力&メディア一刀両断 』

【著者】 新恭(あらたきょう) 【月額】 初月無料!月額880円(税込) 【発行周期】 毎週 木曜日(祝祭日・年末年始を除く) 発行予定

print
いま読まれてます

  • 捜査も会見も突然中止。木原誠二官房副長官の妻「元夫不審死事件」をめぐる“忖度とタレ込み”の裏
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け