「米軍産複合体のセールスマン」バイデンに騙された岸田
現に米国は、台湾有事切迫論を散々煽っておいて、22年には台湾にミサイルやレーダーシステムなど1,500億円を売り込むことに成功し、23年5月には米軍需企業25社が団体を組んで台北を訪れ、次の買い物リストを提示している。それと並行して、日本からも役立たずのトマホーク500発2,100億円の注文を得れば、それで大満足なのだ。
実際、バイデンの言動を見る上で、彼を「米軍産複合体のセールスマン」と定義づけると誠に分かりやすい。例えば、ウクライナ支援の名の下に莫大な武器援助を注ぎ込み、NATO諸国にも手持ちの戦車や戦闘機を供出するよう求めるけれども、米軍自身が直接介入して米国の若者たちの血を流して早期決着を図ることは避けるというのは、要するに、米国内外の米国製兵器の在庫処分を促して新規需要を掘り起こすためである。反人道的なクラスター爆弾を、世界の反発を無視してでもウクライナに送るという誰が考えても常軌を逸した行動も、ロッキード・マーチン社やテキストロン社などメーカーの在庫処分を最優先したからに他ならない。
台湾有事論も同じで、米軍自身が介入するつもりなどないのに口先で危機を煽り、それを真に受けた台湾、日本、韓国などが米国の最先端兵器を大量購入してくれればそれで目的達成で、だから一転して対中対話にシフトしたのである。
こうして、岸田はせっかく腹を括って宏池会の看板を投げ捨て安倍追従路線に転轍して大軍拡に踏み切り、トマホーク大量購入でバイデンのお覚えもめでたくしてそれをG7の「成功」にも繋げようと小賢しく知恵を働かせたのだが、結局は米軍産複合体の手の平で踊ってハシゴを外され、国富を無駄に費やしただけに終わりそうな気配である。
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