マイナカードにバカ息子。支持率の下落が止まらぬ岸田文雄の断末魔

 

安倍「マイナス遺産」の始末に追われるのみの岸田

そうすると、第3に、後に残るのは安倍のマイナスの遺産の後始末ばかり。第2期で露悪的な安倍亜流路線に打って出たものの失敗に終わり、それ以外の雑多な安倍遺産を抱え込んでその処理に追われるのが第3期ということになる。

経済政策は、安倍追随路線に立つ限り「アベノミクス」の徹底的な検証ができない(やれば「失敗」を宣告しなければならない)から、「新しい資本主義」とか口にしてみたものの、中身のある体系的な再生策など打ち出せるわけがない。安倍の食べ残しの「賃上げ」とか「少子化対策」とかの辻褄合わせをしようとしているだけである。

とりわけ深刻なのは、マイナンバーカードの大失敗で、責任者の河野太郎=デジタル大臣がこの制度を作ったのは民主党政権だとか責任逃れをしようとしているが、これは二重に虚偽で、民主党政権が作ったのは「税・社会保障の共通番号制」によって徴税と社会保障給付と両方の不公正・不的確を一気に解消しようとする構想だったが、それを「行政手続きで個人を識別する番号制」に変質させて成立させたのは安倍政権である。だからこの大混乱も、安倍追随を選択したが故に安倍の全てのマイナス遺産まで背負い込んでその始末に追われている岸田の哀れな姿の一端なのである。

世論の動向からして、こればかりは最早、「聞く耳持たず」で強行突破しようとしても無理で、そうしようとすれば内閣の存続を危うくする事態になる可能性がある。

また、いよいよ切羽詰まってきた、福島第一原発に溜まったトリチウム汚染水の海洋放出問題も同様である。2013年9月のブエノスアイレスIOC総会で安倍が、放射能汚染水は「アンダー・コントロール」と全世界に向かって大嘘をつき東京への五輪誘致に成功した。が、汚染水は今なお「アウト・オブ・コントロール」状態で増え続けている。

IAEA調査団のお墨付きを得るまでもなく、トリチウムの海洋もしくは大気中への放出は科学的には無害であるとして世界中の原発で行われていることであるけれども、それをいくら言っても福島の漁民たちを納得させることはできない。だって彼らは事故の後、自腹を切って獲った魚の放射能検査を毎日のように行って魚の安全性を「科学的に」証明しようとしたが、近隣諸国はもちろん日本国民でさえそれを信ぜず、「福島で獲れた魚はしばらくやめておこう」と忌避される「風評被害」に苦しんだ。それを今度は科学の名において汚染水放出を受け入れろと言ってもそんなことが通用するはずがない。

政府が科学データを突きつければ漁民は屈服すると思うのは傲慢で、それは例えば沖縄の辺野古基地建設の問題とも共通していて、政治が人々の心の葛藤、魂の苦悩を感知できなくなったらもうお終いである。

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