ビッグモーターは会社のフリした反社勢力。Google日本元社長が一刀両断する史上最低のブラック企業

 

会見で新社長が流した涙に見る身内都合優先の姿勢

創業者の会見も見ましたが、これもまた史上最低の謝罪会見とも言える救いようのないものでした。自分たちは「天地神明に誓って」何も知らなかったと宣い、すべて現場が勝手にやったかのごとく、まるで他人事のような口ぶりには激しい嫌悪感すら覚えました。

ゴルフボールを使って車にダメージを与えていた件を聞かれた創業者が、「ゴルフを愛する人に対する冒涜」などととぼけたコメントをして失笑を買っていましたが、とてもまともな経営感覚の持ち主とは思えませんでした。山口県の小さな修理工場からスタートして、一代で大企業に育て上げたという意味では、大変な手腕の持ち主であることは間違いなく、立志伝中の人物にもなり得た人なのでしょうが、どこかで道を踏み外してしまったのでしょう。

ちなみに、この創業者は、東京都目黒区青葉台にあるソニー創業者の一人、盛田昭夫氏の邸宅跡地を買い取ってそこに住んでいるそうです。ソニーOBとしての感慨に過ぎないかもしれませんが、そのことも、いかにも日本という国の凋落を象徴するかのように感じてしまいます。

未上場の同族会社なので、社外取締役や社外監査役など、独立性のある立場で外部から経営を監督する仕組みがまったく存在していないのだと思いますが、会見の様子を見るだけでも、会社の内部統制やコンプライアンスの仕組み、リスク管理の体制などが何も整備されていないことが伝わってきました。創業社長と息子の副社長がやりたい放題のワンマン会社になっていて、取締役会さえ開いていなかったといい、社員はまるで奴隷のような扱いだったのでしょう。

特に、息子の副社長が暴走していたようにも言われていますが、人事もその息子の機嫌や気分一つで差配していたといい、いまだにそのような会社の存在が許容されてきたこと自体が驚きです。社長と息子は辞任するそうですが、息子は所在不明で一切表に出てきていませんし、今回の件で新社長になるという人も、単に創業家の言いなりの人のような印象です。

この新社長は、会見で涙を見せたり社員の家族を庇ったりする発言をしていましたが、そういう姿にも、この会社が身内の都合ばかりで、顧客への配慮が二の次になっているという姿勢が伝わってきました。泣きたいのは、被害を受けた顧客の方でしょう。

不祥事を起こした会社は、通常自社サイトのトップページに目立つ形で謝罪文を載せるものですが、この原稿を書いている8月3日時点では、そのような対応もいまだ見られず、下の方の「インフォメーション」のところに、「お知らせ」として「板金部門の不正へのお詫び」があるだけです。しかもこれは日付が7月18日となっていますが、少なくとも私が7月末に確認した時点では掲載されておらず、そのときは「インフォメーション」ではなくて「ニュースリリース」となっていたので、7月末以降にホームページの改変を行ったものと思われ、その時にお詫び文掲載の日付もごまかしたのでしょう。このような細かいところまでがこざかしく、どこまでも信用できない会社です。

さらに、「生殺与奪権」の文言で話題になった、全社員に渡していたとされる経営計画書を急遽回収したり、会社支給携帯のLINEアカウントをすべて削除するように指示が出ていたりと、この期に及んでもなお露骨な証拠隠滅を図る体質にも呆れます。当局の証拠保全のアクションはどうなっているのでしょうか。

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