名刺を“ポイ”と捨てられた経験から考える、取引先の「新規開拓」ですべきこと

Staff reduction concept - Cutting staff and employee Job Reduction. Dismissal. Office cleaner throw in the debris staff business cards. Crisis management and HR policy. Job lossStaff reduction concept - Cutting staff and employee Job Reduction. Dismissal. Office cleaner throw in the debris staff business cards. Crisis management and HR policy. Job loss
 

営業の仕事をしている人なら経験があるであろう「新規開拓」の業務。たまたま成功する例も少なくないでしょうが、やはり、営業には「戦略」が必要と、無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』では、著者で経営コンサルタントの梅本泰則さんは語ります。今回は、梅本さん自身の過去の経験を振り返りながら「新規開拓」に何が必要かを説いています。

失敗に終わった新規開拓

経験も知識も不足していると、効果的な行動がとれません。失敗もします。私の若い時も、十分な経験、知識があれば、多くの失敗をせずにすんだかもしれません。

今回は、そんな失敗の一つを披露します。

1.戦略なき新規開拓

私が30代のころです。関西地区の新規開拓責任者に任命されました。それまでの1年間で、関東地区の新規開拓に成果をあげたので、関西地区もいけると思われたのかもしれません。

関東地区の新規開拓を命じられた時も、私には新規開拓の経験がありませんでした。それでも、たまたま開拓に成功してしまいました。

大した戦略があったわけではありません。図々しく大手企業に飛び込んで、営業をしただけです。すると、たまたま先方の欲しがっていた商品を当社が扱っていました。それで運よく取引が始まったというわけです。

それをきっかけに、いくつもの有力な会社との取引が出来ていきます。あれよあれよという間に売上が増えていくではありませんか。本当に、たまたまうまく行っただけです。

会社は、それを私の実力だと勘違いしたのでしょう。1年後に東京から大阪への転勤命令が下ります。未開拓の関西地区を攻略せよ、というわけです。

指名をされれば、断る理由などありません。チャレンジします。

とはいえ、本当の意味での新規地区開拓は初めて。しかも、責任者です。どんな戦略を立てたらいいでしょう。

そもそも、戦略など勉強したことがありません。経験の浅い私には、何をどうしたらいいか、さっぱり見当がつきません。

2.新規開拓の失敗

そこでまず、対象エリアの小売店リストを手に入れました。そのリストを基に、部下が手分けをして訪問することにします。

とはいえ、分かっているのは住所だけです。それぞれの年商や特色が分かっているわけではありません。ここは、一店ずつ訪問して、当社の紹介をしていくことにしました。いわゆる「飛び込み営業」です。

この飛び込み営業というのは、決して楽ではありません。どこの馬の骨とも分からない会社の人間と、まともに話をしてくれる店主などいません。「忙しい!」「商売の邪魔だ!」などと言われて追い返されます。差し出した名刺も、ポイと捨てられる始末です。

私は、苦しい営業から帰ってきた部下から、報告を受けます。しかし、彼らに有効な手をアドバイスすることが出来ません。経験と知識が不足しているからです。

「同じお店を何度でも訪問して食い込んでいけ」としか指示できない私がいました。

へこたれずに訪問を重ねていけば、やがて話を聞いてくれる店主も現れるだろうという期待しかありません。体育会系根性物語ですね。何とも頼りない上司ではありませんか。

マーケティング的に言えば、顧客を獲得するには、「誰に、何を、どうやって売り込むか」ということがポイントです。

この時の新規開拓の場合、「誰に」は「小売店」です。「何を」は、「当社の扱っている商品」、「どうやって」は、「訪問を繰り返して、相手に飛びこむ」ということになります。

今考えてみると、実に情けない販売戦略です。それでも、この未熟なリーダーに率いられたチームは、何とか頑張りました。1年後には、取引先も増え、それなりの売上も出来ます。

とはいえ、部署としての採算は赤字です。残念ながら、黒字に転換できないまま、その翌年に私はその席を離れることに。体制が変わると同時に、本社に戻されたからです。

結果として、私の新規開拓は失敗に終わってしまいました。思い出しても、悔しさが沸いてきます。

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