「バーナム効果」と「自己確証動機」を活用して人を味方につける!
さて、人間は悩む動物です。
悩みの内容は、些細なことから重大なことまで、いろいろあるでしょう。
しかし、悩みを突き詰めていくと、おおむね4つのカテゴリーに収まります。
- 健康
- お金
- 人間関係
- 将来
「よく当たる」と評判になる「占い師」は、このことをよく知っているため、4つのカテゴリーのどれかを当てはめ、初対面のお客を一瞬にして虜にするのです。
占い師 「お金と人間関係についてのお悩みですね」
お客 「えっ、そ、そうですけど…。よくおわかりですね…(汗)」
お客は、生年月日を尋ねられ、手相を診られる──といった自分自身に特化された占いの儀式を終えたのちに、「お金と人間関係の悩みがありますね」などと断定されると、たいていの場合、当てられた気分になります。
誰にでも当てはまることを告げられただけなのに──です。
占い師の抽象的な言葉を、お客は自身の具体的な悩みに自ら結び付けてくれます。
「実はリストラされ、就職が決まらず……」などと悩みを吐き出していくことでしょう。
誰にでも当てはまりそうな抽象的なことでも、お客に直接該当することとして断定的に伝えると、お客は自分を理解され、自分の内面を見透かされたような気になるのです。
これが「バーナム効果」と呼ばれる認知バイアスなのです。
その時点から、明るい未来を予言されればハッピーな気分になり、暗い未来を暗示されれば不安に駆られます。
自分を理解する人からの言葉ゆえに効くのです。どうせ伝えるなら、明るい未来を伝えてあげたほうがよいでしょう。
バーナム効果によって、「この占い師は自分のことをよく理解してくれる人だ」──こういったお客の思いが刷り込まれるのは、こうしたプロセスがあるからです。
ところで、人には誰でも「認められたい」「ほめられたい」といった「承認欲求」があるものです。
ゆえに、「ごもっともですね」「きみの言うことはいつも正しい」などと肯定的に自分をとらえてくれる人を好きになり、否定的な人は遠ざけたくなります。
こうした心理を「自己確証動機」といいます。つねに自分の味方や理解者に囲まれていたい──と願う心理を指しています。
誰かとコミュニケーションを深めたいとき、こうした「バーナム効果」や「自己確証動機」などの認知バイアスを活用するとスムーズになります。
「ぼくは、多くの成功者の評伝を読んでいるけど、きみの考え方は建設的で気が利いていて、成功者に通じるものが揃っているよ。将来きっと出世するはずだ。きみの考え方の前向きなところには、いつも感心させられるからね」
このように、「きみは〇〇」「あなたはきっと〇〇になる」などと、相手の現在や未来を肯定的に見透かしてあげます。
そして相手に同調し、共感を覚えていることを伝えます。
するとみるみるうちに、あなたが自分を理解し、応援してくれる存在のように思えてくるのです。
自分の内実をよく知る人には信頼を寄せたくなっていくわけです。
こうした「認知バイアス」を知っていると、人間関係構築に非常に役立ちます。ぜひ、覚えておいてほしいのです。
(つづく)
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