「代表性ヒューリスティック」の罠に嵌るな!
「代表性ヒューリスティック」とは、対象を直感で判断するために起こる「脳の偏った決めつけ」です。
何か少しでも目立つ部分や特徴づける部分があると、それが全体を表わしているかのように錯覚してしまうのです。
人に対してだけでなく、モノや事象に対してもはたらきます。
有名な例に「リンダ問題」があります。
次はリンダのプロフィールです。
※ リンダは31歳の独身女性、大学時代は哲学専攻で、差別や社会的不公正の問題に関心があり、反核デモに参加したこともあります
さて、現在のリンダは「銀行員?」、それとも「フェミニズムに関心のある銀行員?」──と尋ねると、大抵の人が「フェミニズムに関心のある銀行員」と誤答します。
ただの銀行員であるほうが確率が高いのに──です。
代表的、典型的と思ったこと(要素)を過大に評価しやすい傾向、これが「代表性ヒューリスティック」です。誰もが持っている 「脳の癖」なのです。
たとえば、「あの人は東大卒」と聞くと、「すごく仕事ができそう」などと思いがちです。
一般的な頭はよいとしても、実際に「仕事ができる」のかどうかはわかりません。
にもかかわらずこの時点でそう思ってしまうのは、先入観や経験に基づく「社会的要素」による直感的判断をしてしまう傾向が人にはあるからです。
人物をひと目見ただけでも、このバイアスははたらきます。
折り目正しい雰囲気の人は、そこはかとない知性や教養を感じさせます(外見的要素)。
しかし、粗野な言動の人は、その逆を行く人にも思えてくるので警戒心を抱かせます(性格的要素)。
代表性ヒューリスティックは、このように「社会的要素」「外見的要素」「性格的要素」の3点において、その威力を発揮していることがわかります。
自分の存在感をより強く周囲に示したいならば、これらの要素での代表性ヒューリスティックを存分にはたらかせるようにするとよいでしょう。
すると、あなたへの注目度、関心度、期待値も上がっていくからです。
「社会的要素」では、自分の強味や弱味を分析し、好感度が上がる要素をそれとなく周囲にアピールしていくことです。
「学生時代はずっと野球部」で根性と体力のあるイメージを表わし、「趣味は料理」で家庭的なイメージを表わしたり──といったさりげない自分語りが、属性を形作ってくれるのです。
「外見的要素」では、髪型、容姿、身なりの他に顔の表情にも気を遣いましょう。
自分に重厚感を出したいなら黒系の服を選びます。
性的魅力度をアップさせたいなら赤系の色を服装の一部分に取り入れるようにします。
爽やかに見せたいなら青や白系の服装が好感度につながる──と色彩心理学は教えてくれています。
そして快活な笑顔を多く見せることで、明るい人柄も外見から演出できます。
次に「性格的要素」では、話し方を工夫し、明瞭、快活、丁寧な口調にこだわりましょう。
早口で話す癖があれば、落ち着いて格調高く話すようにします。そして誰にでも親切に接します。
親切で性格のよい人には人が寄ってくるでしょう。
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