日本は世界経済の中からすっかり追い出されてしまったようです。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、その危機感とともに、問題の原因と打開策について論じたインタビューを掲載しています。
50年先の日本に未来はあるか
現在、日本は大きな危機に直面しています。
三十余年前、世界の株式時価総額のトップ5はすべて日本企業が占めていましたが、いまやトップ50にすら1社も入っていません。
既に世界の三流国へと凋落してしまったと、數土文夫さんと月尾嘉男さんは警鐘を鳴らします。
問題の原因は何か、いかにして打開するか、大所高所から論じ合う日本の未来──。
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數土 「あらゆる分野で日本人の生産性が落ちてしまっている。特に日本人は国も企業も金融資産の生産性に着目することを忘れてしまって、お金に関する話をするのは道徳的にいかがなものかと。
そういう古い考えを持っているものですから、なかなか経済的に豊かになっていかない。
日本の大企業の経営者で財産を持っている人は外国に比べても少ないですよ。この30年間で日本の企業は相対的に規模が小さくなってしまいましたね」
月尾 「おっしゃる通り、1989年が日本経済の頂点でした。世界の株式時価総額のランキングを見ますと、この年はトップ20に日本企業は14社入っており、トップ5はすべて日本企業です。
さらに1位のNTTを除くと、2位から5位まではいずれも銀行が占めています。
それがいまどうなっているかというと、上位50番以内に日本企業はゼロ、52位にようやくトヨタ自動車が入っている。
日本は世界経済の中から駆逐されてしまったと言わざるを得ません」
數土 「それはなぜかと。日本人が小成に甘んじ、既得権益に執着するという精神状態に陥ってしまった、と僕はそう思っているわけ。
だから、企業は合併して1兆円規模の投資もやれるようにならないとダメなんですけど、どうも日本では経営統合が進まないですね」
月尾 「かつて世界の上位を占めていた日本の銀行も、合併に合併を重ねていま三大メガバンクに集約されましたが、経営状態はガタガタになってしまっています」
數土 「銀行に限ったことではありませんが、外から見るところでは経営陣が僅かな既得権益を手放すのを嫌がるものだから、経営統合がうまくいかないんじゃないかなと。
新しいことに挑戦し進歩する時には、旧来のものを捨てないといけないんですけど、そこに残存価値があって、それを守ろうとするわけです」
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