「単純接触効果」で「他人が自分のことを好きになる」よう仕向けられる!
もうひとつ、人間関係を向上させる「認知バイアス」を利用した心理テクニックも見ておきましょう。
米国の心理学者で、コミュニケーションの要諦を説いて名高いのがロバート・ザイアンスです。
「単純接触の原理」を中心とした「ザイアンスの法則」は次の通りですが、これはぜひ覚えておきたい法則なのです。
- 人は、知らない人には、攻撃的、批判的、冷淡に接する
- 人は、会えば会うほど好意をもつ
- 人は、相手の人間的側面を知った時、より強い好意をもつ
2.の「人は会えば会うほど好意をもつ」というのが、「単純接触の原理」ですが、これには重要な条件があります。
「嫌われない限り」という前提付きなのです。
嫌いな人に何度も会うのは苦痛ですし、それが繰り返されるのは耐え難いからです。
街中に張り巡らされる選挙用ポスターなどでも、好感をもつのもあれば、不快に感じるものもあるでしょう。
この法則は、対人関係以外にも当てはまります。
テレビやネットで何度も流れる商品は、いつのまにか親しみを覚え、スーパーなどの棚で見つけると、つい買ってしまいます。
寒い冬場になるとインスタントラーメンのおいしそうなCMがやたらと流れるのも、この効果を狙っているのです。
あなたが意中の人と自然な形で親しくなりたい時、この「単純接触効果」は、お手頃で、おすすめの「認知バイアス」のテクニックとなります。
「単純接触」とは、接触時間の「長さ」ではなく「回数や頻度」です。一度に長い時間をかけた接触より、何度もこまめに会うという「接触頻度」がモノをいいます。
近づきたい人がいる場所に、何かと用を作り、頻繁に顔出しすればよいだけなのです。
犬の散歩でよく出会う人たちとは、自然に心の距離も縮まっていくことでしょう。
その要領を思い浮かべて実行してみることです。
愛想よく、ペコッと会釈する、「こんにちは」と軽く声かけする。
これを繰り返していけば、よいだけです。
やがて、お互いの警戒心が薄れ、気の利いた挨拶を交わしたり、少し雑談が出来る感じになっていけたら、しめたものでしょう。
ただし、ここまできたとしても、まだ「親しい顔見知り」の関係にすぎません。
「馴化作用」でモテモテ人間に変身する!
意中の人が異性なら、もう一歩進展させて、デートに誘えるようにもなりたいでしょう。
しかし、それには相当勇気がいる──と思われるかもしれませんが、心配はいりません。
とりあえず、何とも思っていない異性を片っ端からデートに誘い、予行演習を繰り返せばよいだけだからです。
要は練習あるのみなのです。
何とも思っていない異性になら、臆することなく「今晩、飲みに付き合ってくれない?」などと言えるでしょう。
大事なことは、自然体で振る舞えることなのです。
「初デート」で玉砕する人が多いのは、好きな相手に接すると意識しすぎて、言動がぎくしゃくし、相手からつまらない人間、変な人──などと思われてしまうからです。
とにかく、異性に慣れておけば、デートに誘うことなど、どうってことはなくなるのです。
これが、「馴化(じゅんか)」と呼ばれる認知バイアスなのです。
「慣れること」が重要なのです。
世間には、「モテる男」も「モテる女」もいます。
モテるのは異性に対して「自然体で振る舞いながらも、好意をアピールするのに慣れている人」たちだからなのです。
意識せずにすむ、そこら中にいる異性に声をかけ、モテる人を目指してデートに誘う練習をしていきましょう。
「単純接触の原理」を効果的にするのは、あなたの練習度合いにかかっているのです。
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