「ピグマリオン効果」もはたらき、期待に沿うべく行動する!
これは、「ピグマリオン効果」とも呼ばれる現象でも説明されています。
ピグマリオンとは、ギリシャ神話に登場するキプロス王のことですが、この人は自分で彫った、理想の女性像に恋をしてしまいます。
あまりにも彫像に熱中するピグマリオンの姿を哀れんだ「愛と美と性」の女神アフロディーテは、やがてピグマリオンのひたむきさに同情し、ついにはその彫像を人間に換えてあげた──という物語による「心理効果」なのです。
彫像に心を奪われたピグマリオンが、「これが人間だったら、どんなに素晴らしいだろう」と思い描く「期待」が強ければ強いほど、このように期待通りの結果が得られるようにもなる──というわけです。
ある教師が新しく教えるクラスについて、「このクラスの生徒は非常に優秀な者ばかりが揃っているよ」などと、ウソの情報を与えられた場合に、次第に他のクラスよりも著しく成績が上がった──といった心理学の効果実験もあります。
教師が無意識のうちに、生徒たちに「期待」をかけていたことによって、その思いが反映された結果──と推定されたのです。
このことより、「ピグマリオン効果」は、「教師期待効果」とも呼ばれることがあります。
さらに大きな期待をかけ、反応を向上させて実現させる方法!
ゆえに、職場の同僚や取引先の担当者に、「いつもご親切にありがとうございます」などと感謝を伝えていると、よい結果がもたらされる──ということは、容易に想像できるでしょう。
そうなのです。
やがて、相手が自分に対し、「つねに親切に対応してくれる」ようにもなるわけです。これはとても効果的な反応なのです。
ゆえに、日頃からこういう言葉を口にしていることのメリットは大きいのです。
それでは、こうした人たちへ、こちらの要求水準をもう一段アップさせたい時には、どうすればよいのでしょうか。
それには、相手のよいレッテルを明示しながら、「だけど、〇〇の場合は、さすがのきみでも無理だよね?」などと、ほんの少し見くびるような質問を付け加えればよいだけです。
「きみは仕事が速いけど、さすがに〇〇の案件だと、時間がかかるよな?」
「きみはパソコン操作の達人だけど、こういったケースの操作は難しいよね?」
「きみは料理が上手だけど、あと一品、中華風総菜を増やすのは無理かな?」
こんな言い方をされると、言われたほうは、ちょっぴり反発心が湧くでしょう。
すると、「いやいや、そんなの大丈夫」とばかりに請け合ってくれるようにもなるはずです。
これも、「一貫性の原理」に背中を押されるからです。
よいレッテルを貼られている手前、OKしないと沽券に関わるからです。
もちろん、希望通りにワンランクアップの要求が満たされたなら、大いに感激し、激賞してあげることを忘れないようにしましょう。
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