あるがままで、自然に気づかせてくれる「物リマインダー」の存在

 

自然なもの

話を戻しましょう。物リマインダーは何も「命令」しません。自分が過去にやったことを自然に思い出させるだけです。しかも、リマインダーアプリのように通知がやってくるのではなく、自分がその対象に注意を向けたときにだけ想起が起きます。

そうした注意を向けない限りにおいて、物はただ物として空間の中に存在しています。つまり「自然な」状態でそこにあります。これは一種のアンビエントと言えるでしょう。風景に溶け込み、ある種の「自然」なものとして環境に入り込むもの。

そもそもとして脳は単体として仕事をするのではなく、「外部」をうまく使って記憶や思考を行うわけですから、その意味で物リマインダーの方がより「自然」なやり方だと言えるかもしれません。

だからといって人工的なリマインダーがよくない、という話でもありません。朝の7時に家を出ないと新幹線に間に合わない事実は、「命令」のように示されてもまったく問題ありませんし、その方が好ましいことも多いでしょう。

ようは使い分けです。命令が必要な場面と、そうでない場面を切り分けて、適用する手法を替えて行く。そういうアプローチが大切なのだと思います。
(メルマガ『Weekly R-style Magazine ~読む・書く・考えるの探求~』2023/09/18号より一部抜粋)

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1980年生まれ。関西在住。ブロガー&文筆業。コンビニアドバイザー。2010年8月『Evernote「超」仕事術』執筆。2011年2月『Evernote「超」知的生産術』執筆。2011年5月『Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング』執筆。2011年9月『クラウド時代のハイブリッド手帳術』執筆。2012年3月『シゴタノ!手帳術』執筆。2012年6月『Evernoteとアナログノートによる ハイブリッド発想術』執筆。2013年3月『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』執筆。2013年12月『KDPではじめる セルフパブリッシング』執筆。2014年4月『BizArts』執筆。2014年5月『アリスの物語』執筆。2016年2月『ズボラな僕がEvernoteで情報の片付け達人になった理由』執筆。

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