またしても、店主の高齢化と後継者の不在です。
悲劇は繰り返されるものです。
2度目の閉店なので、もうこれで終わりかと思われたのですが、再度救いの手が。
事業継承を支援する団体が動き出したのです。
この団体が声を掛けたのが、就業支援を手掛ける会社だったのです。
個人のお店だからと、個人に継いでもらうのではなく、今後も事業を存続し続けることができるよう、経営体力のある企業に目をつけたのです。
職人の高齢化や後継者の問題にも、対処しやすいのではないかと考えたのです。
昔からのやり方をそのまま引き継ぐことは難しく、時代にも合っていません。
そこで、企業なら技術面でも経営面でも効率化が図れるのではないかと。
この話を引き受けた企業は、職人の熟練技を必要とする、米麹の温度管理や生地の発酵時の温度管理などを機械に置き換えることにしました。
しかし、それは簡単なことではなく、研究開発に約1年8ヵ月を要しました。
手づくり部分は残しながら、機械にできることは機械に任せることで、誰もが作れる片原饅頭を生み出したのです。
そして、2023年。2度目の復活を果たしました。
長年のファンは大喜びです。
「以前の店がなくなって残念だった。また食べられるようになって、嬉しい」
「この味は他にはないので、復活を感謝しています」
地元の名物が消えてしまうのは、寂しいことです。
後継者がいないのであれば、企業による事業継承で、名物を守ることを考えても良いのではないでしょうか。
個人が継承するには限界があるので、会社組織で安定的な事業として、継続させるのです。
名物が残れば、地域の人びとは喜びますし、また、地域経済を支えることにもなります。
これぞ、新しい事業継承のカタチだと言えます。
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