パリ五輪は大丈夫か?イスラエルとハマスの衝突で高まるテロ多発リスク

2023.11.01
New,York,,United,States,-,May,15,,2021:,Pro-palestine,,Anti-israel
 

イスラエルとハマスの衝突で、極度の緊張状態にある中東。欧米各国はイスラエル支持の姿勢を見せていますが、その代償は大きなものになりかねないようです。安全保障や危機管理に詳しいアッズーリさんは今回、中東でイスラエルVSアラブの対立構図が先鋭化している現実を紹介。さらに中東諸国で高まる反イスラエル・反米感情が、欧米に「テロのドミノ」をもたらす可能性を指摘しています。

中東情勢激化。世界でテロが多発する恐れ

パレスチナ・ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスが10月7日、イスラエルに向けて数千発のロケット弾を放って以降、イスラエルとの衝突が激化している。ハマスの戦闘員はガザ地区周辺で開催されていた野外コンサート会場を襲撃し、260人以上が犠牲となり、外国人を含む100人以上がガザ地区に人質として連行され、既に一部は殺害されたという。イスラエル側もガザ地区への空爆を強化し、既に双方の間で犠牲者数は4,000人を超えている。

そして、最近ではガザ地区の病院への空爆があり、重症患者など数百人が犠牲となったことで、反イスラエル感情をむき出しにした抗議デモが中東全体に拡大している。これまでのところ、この空爆はイスラエル軍によるものではなく、ハマスと同じくガザ地区を拠点とするイスラム原理主義勢力「イスラム聖戦」による誤爆の可能性が高いという。しかし、中東各国ではイスラエルの仕業として抗議デモが拡がり、イスラエルVSアラブの対立構図が先鋭化している。レバノンやイラク、イエメンなどハマスと同じくイランから支援を受けるシーア派武装勢力が活動する国々で抗議デモが拡大しており、こういった武装勢力がイスラエルへの攻撃をエスカレートさせる可能性もある。

フランスとベルギーではテロ警戒水準が最高レベルに

一方、中東で激震が走ったことで、世界で再びテロが多発するリスクが高まっている。たとえば、ベルギーの首都ブリュッセルでは16日、ブリュッセル在住のチュニジア系不法滞在者とみられる男がタクシーに乗車していたスウェーデン人2人に発砲して殺害した。男は事件前にネット上でイスラム過激派イスラム国から刺激を受けたとする動画を投稿し、その後イスラム国が自ら運営するアマーク通信から、イスラム国の戦士が実行したとする犯行声明を出した。この事件によりベルギー当局は国内のテロ警戒水準を最高レベルに引き上げ、ベルギーでは緊張が高まっている。

フランスでは13日、北部アラスにある高校で刃物を持った男が高校を襲撃し、教師1人が死亡、3人が負傷した。男は事件当時アラビア語で神は偉大なりを意味する「アラーアクバル」と叫び、地元警察は男がロシア国籍のチェチェン系と断定し、テロ事件して捜査を開始したことを明らかにした。フランス政府も、この男は最近のイスラエル情勢に影響を受けたとし、フランス全土でもテロ警戒水準が最高レベルに引き上げられた。そして、テロへの警戒が強まる中、フランス各地にある空港で18日に爆弾騒ぎがあり、利用者らが避難する事態があった。空港当局によると、トゥールーズとナント、ビアリッツなど7つの空港で同日に爆破予告があったが、現在のところ詳しい背景は分かっていない。

両国でこういった事件が相次いで発生し、テロ警戒水準が最高レベルに引き上げられたことから、他の欧米諸国も警戒を強めている。英国では情報局保安部(MI5)のマッカラム長官が、国内でもテロが発生するレベルにあり、過激思想に感化しやすい者たちは外国で発生したテロ事件に触発されやすく、国内での監視を強化していると懸念を示した。

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