元国税が怒りの解説。あの経団連が「消費税を推進」する身勝手な理由

 

「社会保障費のために消費税が必要」という真っ赤な嘘

経団連は、財務省と歩調を合わせる形で、消費税の導入と、その後の税率アップを推進してきました。経団連の主張は、「消費税を上げて、その代わりに法人税を下げよ」ということでした。この経団連の主張は、別に秘密裏に政治家に働きかけられたわけではありません。公の場で堂々と述べられ、経団連の主張として文書でも発表しています。

そして、この主張は通り、そのまま実行されました。消費税がつくられ、さらに税率アップされ、その代わりに法人税が大幅に下げられたのです。法人税率は、1988年までは43.3%だったものが、現在は23.2%になっています。約半減です。

この30年間、国民は消費税の創設や増税、社会保険料の値上げなどの負担増に苦しんできました。その一方で、法人の税金は急激に下げられてきたのです。このメルマガで何度も述べたように、この時点ですでに「社会保障費のために消費税が必要」という国の喧伝は、真っ赤な嘘なのです。

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「消費税を上げて、法人税を下げる」とはどういうことでしょうか?法人税というのは、「儲かっている企業」に対して、「儲かっている部分」に課せられる税金です。一方、消費税というのは、国民全体が負担する税金です。「消費税を上げて、法人税を下げる」ということは、「儲かっている企業の税負担を減らし、その分を国民に負担させる」ということなのです。

「儲かっている企業」の集まりである経団連にとっては、万々歳のことです。自分たちの負担を減らし、それを国民に押し付けるのですから。経団連が、強硬に消費税の増税を主張してきたのも、ここに理由があるのです。

しかしこれは、日本経済を窮地に追い詰めるものでした。「儲かっている企業の税負担を減らし、その分を国民に負担させる」ということは、決して日本経済の実情に合っていません。バブル崩壊以降、日本でのサラリーマンの平均賃金は下がりっぱなしです。そういう中で、消費税を上げるとどうなるでしょうか?国民の生活は苦しくなります。当たり前といえば当たり前の話です。

それは数値としても明確に表れています。総務省の家計調査によると、2002年には一世帯あたりの家計消費は320万円をこえていましたが、現在は290万円ちょっとしかないのです。国民は消費を10%も削ったということです。この20年間で、消費が減っているのは、先進国では日本くらいなのです。この20年でGDPが30%以上拡大していることを見ても、消費が減っているというのは絶対におかしい話で、まともに経済活動をしている国ではあり得ない話なのです。

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