あと数年で到来する“日本のマンション大崩壊”時代。都市部に広がる「廃墟だらけ」の風景

 

「旧耐震マンション」と「新耐震マンション」の違いは?

建築基準法が改正されて、建築確認申請が1981年(昭和56年)6月までに受理されたものが「旧耐震」物件であり、これ以降に申請され「建築確認」を受けた物件が「新耐震」物件となります。

なお、マンション建設には概ね2年程度かかるので、1983年後半以降に竣工したマンションは、概ね「新耐震」の基準物件が多いといえます。

ただし、「旧耐震」基準で建築確認申請後に工事を一時的に中断したような物件は当然ですが、この限りではありません。

1984年に竣工したマンションでも「旧耐震」というケースがあるわけです。

つまり、2023年11月の現時点でいう、概ね築40年の物件は、ほぼほぼ「旧耐震」の物件といえるわけです。

なお、「旧耐震」と「新耐震」の違いはどこにあるかといえば、「旧耐震」が震度5強程度の中規模地震に耐えられ、「新耐震」が震度6強~7の大規模地震に耐えられる強度をもつとされています。

つまり、被害は受けるものの倒壊や崩壊はしない、つまり、人命に関わる損傷は生じないことをその目安としています。

阪神・淡路大震災(1995年1月17日午前5時46分)と東日本大震災(2011年午後2時46分)での最大震度は概ね震度6強でした(兵庫県東南部と淡路島および宮城県栗原市は震度7)。

阪神・淡路大震災においては、大破した「新耐震」物件は10件(0.3%)で、「旧耐震」は73件(3.4%)でした。

そして、被害がなかった「新耐震」物件は1,636件(53%)、「旧耐震」は1,093件(50.1%)でした。

東日本大震災においては、大破した「新耐震」物件は、0件(0%)、「旧耐震」物件は1件(0.4%)でした。

そして、被害がなかった「新耐震」物件は、630件(51.1%)、「旧耐震」物件は108件(47.7%)でした。

いずれの大地震も、最大震度は6強だったものの、阪神淡路大震災の方が、東日本大震災に比べ被害が大きかったのは、阪神淡路大震災が直下型の地震だったからです。

つまり、建物の被害は震源地との距離などによって大きな差が出るわけです。

2つの大地震において、「新耐震」も「旧耐震」も約半数の建物が「被害なし」で、8割以上の建物が「軽微」以下の被害で済んでいます。

「旧耐震」であっても、鉄筋コンクリートの分譲マンションは地震に強いことがわかります。

「新耐震」のほうが「中破」以上の被害は相対的に少なく、「新耐震」のほうが相対的に耐震性は高いのです。

しかし、「新耐震」でも「中破」以上の被害もそれなりにあるため、「新耐震」だから「被害はない」とは必ずしもいえないわけです。

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