あと数年で到来する“日本のマンション大崩壊”時代。都市部に広がる「廃墟だらけ」の風景

 

コンクリート建造物は、40年経過あたりから「劣化」が著しく露呈し始める!

ところで、鉄筋コンクリートの法定耐用年数は、1997年以前は60年でしたが、98年以降は47年になっています。

鉄筋コンクリートの寿命は、理論上、好条件下の環境にあり、適正な保守管理がなされていれば100年前後もち、海に近いなど悪条件の場所では65年程度といわれます。

劣化してヒビ割れしたコンクリートには、雨が浸み込み、内部の鉄筋をさびつかせ、膨張させます。これによってコンクリートが押し出され、剥離してきます。

そのため、古いコンクリート建造物は、コンクリ─トの外壁が崩れ落ちてきて、近隣を歩く人にも非常に危険な状況を及ぼす──といわれます。

コンクリートの劣化を云々する際に、築40年という年数がクローズアップされるのは、新築から40年もの間、風雨にさらされると、危険なコンクリート建造物になりかねないため、保守管理と修繕が重要な課題となるからです。

放置すればするほど、マンションの劣化は進行し、朽廃(きゅうはい)が早まるわけです。

一般的なマンションでは、所有住人による管理組合が形成されており、築10年~15年あたりを経過すると1回目の大規模修繕が行われます。

以降10年もしくは15年で、2回目、3回目の大規模修繕となっていくわけですが、修繕費用は時間が経つほど大きくなっていきます。

経年劣化が激しければ、当然ですが修繕の予定で積み立てていた従前の「修繕積立金」では、賄いきれなくなります。

となると、不足額を所有者から集めなければなりませんが、これがなかなか容易でないのは、想像に難くないでしょう。

そもそも、鉄筋コンクリート構造物は、その維持管理に相当なお金がかかります。

しかし、新築で販売する際、販売会社は物件を早く売りきろうとしているため、住みやすさを強調するべく「管理費」や「修繕積立金」を低く設定している事例が多いのです。

ゆえに、年月を経るほど、「管理費」や「修繕積立金」が不足する事態にも直面するのです。

ちなみに、2018年時点調査でのマンションの修繕積立金の平均月額は12,268円ですが、実際には3~5万円でも足りない──というマンションも少なくないといわれます。

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