「冷やし中華サンド」に「ワニおにぎり」?コンビニ「立山サンダーバード」の“伝説”は家族会議から生まれた

 

その隣の棚には、大きなおにぎりが並びます。

こちらも人気があり、1日に何度も追加しているほどです。

具材は、「くま」「いのしし」「うさぎ」「しか」
「かも」「ワニ」「カンガルー」「ブラックラーメン」
「シロエビコロッケ」「しいたけハンバーグ」
「わらび」「うど味噌」など。

ジビエや地元の食材を使った、珍しいものばかりです。

サンドイッチとおにぎりの面白さが注目されるようになり、たくさんの人が訪れるようになったのです。

では、なぜこんな変わったものを売るようになったのか。

元々は、普通のコンビニとして営業していましたが、近くに大手のコンビニチェーンができたことで、客足が落ち込みました。

そこで、店主であるお父さんは、「独自の路線を極めなければ」と考え、家族会議を開きました。

まずは、息子さんが調理士免許を取得し、オリジナルの弁当などを作り始めました。

その延長で、変わったサンドイッチを作り、SNSで紹介してみたところ、瞬く間に拡散し、遠くからでもお客さまがやって来るように。

いまでは、日本だけではなく、海外からも来るようになりました。

サンドイッチやおにぎりを買う人が増えたので、イートインコーナーも設けました。

いろんな場所からかき集めたような、統一感のまったくない椅子やテーブルが置かれていますが、その雑多な感じが、気取らない味わいになっています。

他にも、「昆布じめコーナー」という、コンビニでは珍しい商品も揃えています。

富山県は昆布の産地で、家庭でもよく食べられています。

その昆布を使い、息子さんが、さまざまな自家製の昆布じめを作っています。

魚、エビ、イカなどの海鮮をはじめ、「くま」「いのしし」「馬刺し」「自家製チーズ」
「フォアグラ」「原木しいたけ」「焼きアユ」など。

珍しさから、お土産として買って行くお客さまも多くいます。

大手コンビニチェーンでは、絶対に扱っていない商品を揃えているということです。

店内のPOPやポスターも、息子さんが年賀状用のパソコンソフトを使って作り、オリジナリティをアピールしています。

さらに、息子さんの趣味でもあるイラストを使った、オリジナルグッズも販売しています。

缶バッジやポストカード、ステッカー、マグネット、キーホルダー、トートバッグなど。

ほのぼのとした、味わいのあるイラストがウケているようです。

それだけではなく、息子さんのイラストそのものも額装して、サイン入りで販売されています。

面白い遊び心です。

店内すべてで笑いがあり、驚きがあり。

隅から隅まで見てまわりたくなる、不思議な空間になっています。

見事な販売戦略です。

個人商店の進むべき道を示してくれているようです。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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