ここで皆さんに叱るコツをお教えするならば、叱る時はまず現行犯で叱ってください。いまのそれがダメなんだって言われたら、人間は反省します。「君、この前も同じことを言ったよ」と古いことを持ち出してはいけません。これをやられると、いまやったことへの反省が薄れてしまうんです。
もう一つしてはいけないのは、しつこく叱ること。それは本人の自己満足で、聞いている人は「もう分かったよ」って嫌気が差してくるんです。現行犯で叱ること、古いことを持ち出さないこと、しつこく叱らないこと。この三つの叱るコツをぜひ覚えてください。
そして、叱る時は本気でかかってください。相手がどんなに小さなお子さんでも、自分に本気でぶつかってくれているかどうかは分かるんです。中途半端に叱るくらいなら、最初から知らん顔をしているほうがましです。
叱るとは、いま自分の目の前にいるこの人は、絶対にこのままでは終わらないんだ。いまの状態よりも必ずよくなるんだと、その人の可能性を信じることなんです。
だから本気でぶつかり、よくなるまであの手、この手で引き上げようとする。叱るとは、その子の可能性を信じるということなんです。
(本記事は月刊『致知』2018年1月号 特集「仕事と人生」より、井村雅代さんの特別講話「人を育てる──愛があるなら叱りなさい」の一部を抜粋・編集したものです)
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