国際秩序を転覆しようとしているわけではない中国
第2に、そうは言っても、中国は第2次大戦後に米欧が中心となって築いてきた国際秩序を覆そうとして挑戦し続けているのではないのか?
徐は言う。「中国は現在の国際秩序をより公平なものに改革しようと思っているが、転覆しようとしているわけではない。現在の国際秩序は西洋が定義したものであり、西洋以外の国々にとって公平とは言い難い部分が多々ある。それを改革し、西洋以外の国々にももっと発展と参画の機会を増やすことは途上国の正当な権利であるだけでなく、先進国にとっても経済的に有益である」(同上)。異議なしである。
第3に、しかし中国のあの海軍近代化を中心とした大軍拡は米国を意識したものではないのか?そうには違いないがその目的はあくまで台湾有事すなわち「内戦再開」という万が一の際に米国が第7艦隊を中心として台湾側を支援するのを抑止することにある。
これも本誌が25年前から繰り返し分析してきているところで、1996年の台湾総統選で李登輝が当選しそうだと見るや中国は(江沢民主席の指示なのか軍部の独走なのかは不明だが)台湾沖にミサイルを撃ち込むという愚行に出、これに煽られた米クリントン政権が直ちに第7艦隊の2つの空母機動艦隊を台湾海峡に派遣するという強硬策に出た。ビックリ仰天したのは中国側で、それまでの100万兵士が決死で台湾海峡を渡洋して怒涛のように攻め込むという毛沢東流の幼稚な人民戦争型シナリオなど全く通用しないことを思い知った。
そこで初めて空母の建造に着手し、いざという場合に米第7艦隊に勝てないまでも接近を遅らせる程度の近代的海軍力を保有しなければならないこととなった。
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