熊の駆除に対して役所へ「熊がかわいそう」という内容のクレーム電話が多くかかってくるというニュースが話題となっています。メルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』の著者で現役小学校教師の松尾英明さんは今回、「かわいそう」という“上から目線”の言動に対して、学校教育にも通じるものがあると語っています。
「かわいそう」の上から目線を問う
前号に続き、熊出没に関する問題からの気付き、雑感。
熊の駆除に対し、役所等へ一部理不尽なクレーム電話があるという。
「熊がかわいそうだ」という。
私は野生の熊に出遭ったことがない。
だから、その真の恐ろしさについては知らない。
知らないが、海におけるサメやシャチなどと同様、確実に出遭ってはいけない危険な生き物であることはわかる。
少なくとも、様々なアニメやグッズのキャラで見るような「だらけて間抜けで可愛い生き物」ではないことだけは間違いない。
何なら、普通の中型犬でも危険を感じることがある日常経験から、子熊ですらかなり危険な気がする。
例えば、アフリカで人がライオンに遭遇して襲われそうになったから、銃殺したとする。
「ライオンがかわいそう」「銃を使うな」というだろうか。
多分、言わない。
ライオン対人間で、もしも銃なしの状況では、どう考えても人間に勝ち目がない。
自分のように銃をもったことすらない人間では、銃があって死ぬ気で闘っても勝てる気がしない。
むしろ、その状況でかわいそうなのは人間の方である。
多分、野生の熊はそのレベルの猛獣である。
また、話してわかる、しつけてわかる相手でもない。
熊には人間の言葉も文化も論理もわからない。
背後を見せて逃げれば襲い掛かってくる。
かわいそうとかどうこう言っているレベルの話ではない。