古くから世界中の人々に親しまれているクラシック音楽。その本場ヨーロッパに暮らす人はどんな音楽を好んでいるのでしょうか? 今回のメルマガ『Namaka Yetのグーテンモルゲン』では、著者で長くドイツに暮らす日本人著者が、オススメするドイツ系クラシック曲3曲を紹介しています。
私の好きなクラシック曲3曲
いつもご愛読ありがとうございます。
今回は少し趣向を変えて、自分の好きな曲を紹介していこうと思います。
過去何度か書いてきましたが、改めてまとめておくのも悪くないですね。
1位:リムスキーコルサコフ作曲『シェエラザード』
高校生の時から一度たりともその座を明け渡すことのない、自分の中では絶対王者です。
アラビアンナイト中のシェエラザード王女が語るおとぎ話を、完璧に音楽で再現しています。
シェエラザード王女の優しい語り口、王子の粗暴な姿、船が難破するシーン。一つ一つがまるですぐそこにあるように表現されていて、起きていても夢を見ているような、そんな作品です。
作曲家のリムスキーコルサコフは、ロシア五人組の一人。何かと西ヨーロッパの向けの作風で有名になった彼よりも、もっとロシアらしい音楽を作りたいとするメンバーで、まさかのほぼ全員がアマチュアでした。リムスキーコルサコフも元軍人ながら、オーケストレーションに特に秀で、管弦楽の魔術師(フランスのラヴェルもこの別名)という二つ名があります。
2位:ブラームス作曲『交響曲第1番』
自分が実演した中で、最も偉大だと感じる曲です。名曲は演奏中に作曲家の情熱や気持ちが伝わってくるというのが持論なんですが、この曲はその名曲たちの中でも、一番作曲家のパワーを感じます。
ベートーベンが作った9曲の交響曲はその完成度の高さ故に、その後の作曲家達に大きな影響を与えました。同じようなことをやっても勝てないと悟ったリストやベルリオーズは、交響詩(表題音楽)を作りました。ショパンやパガニーニ、シューベルト等は一つの楽器や歌の可能性に注目し、それらの演奏技術や表現を大きく進歩させました。チャイコフスキーやドボルザークなど、西ヨーロッパ的なものとは別のロシアやチェコのような田舎のメロディに注目した人たちもいます。
そんな中で、ブラームスはベートーベンとの真っ向勝負を選びました。20年という長い年月をかけ、完成させた交響曲がこの1番ハ短調交響曲です。ハ短調というのはベートーベンの最高傑作、5番交響曲(運命)と同じ調で、まさに人生の集大成といえる名曲です。僕は何回も演奏しましたが、毎回、毎練習その完成度に心打たれます。
3位:バッハ作曲『バイオリンのための無伴奏パルティータ2番』
このメルマガで最も登場している曲ですが、バイオリンの最高傑作だと常々言い続けています。
特に終曲のシャコンヌは、いつまでも弾いていたいと思える曲ですね。一本のバイオリンでオルガンや合唱のような響きを持たせるというコンセプトなんですが、本当にそれが実現できている曲で、自分で弾いていてまるで教会でオルガンの演奏に接しているような、そんな感覚になります。
一つの音が展開されてどこまでも大きくなっていき、そしてその響きを紡ぎだしているのが自分であることに気づくという、得も言われぬ感覚を味わうことができます。まるで自分が世界の中心にいて、全て自分がコントロールしているような感覚です。これぞ芸術というイメージの曲ですね。
今のところはこんな感じですね。
自分としては、どうしてもドイツ系の音楽がハマるんですよね。
今回もご購読ありがとうございました。
この記事の著者・Taku Yamaneさんのメルマガ
初月無料で読む
image by: Shutterstock.com