イスラエルの「暗殺予告」に仲介国が激怒。終りが見えぬガザ紛争

 

プーチンが停戦案を受け入れる可能性はあるのか

今のところ、ゼレンスキー大統領自身は来春の大統領選挙を延期し、自身がその座に留まることを提案していますが、今後、サルジーニ氏の人気が高まり、そしてロシアとの戦いに休止がもたらされることがあれば、もしかしたらウクライナ国内の雰囲気も大きく変わるかもしれません。

もともと現在のウクライナは3つの異なる層から構成されており、首都キーウがある中央ウクライナはウクライナ正教徒でかつコーカサススラブ系、ポーランド国境に近いリビウ周辺を含むウクライナ南部はポーランド系でカソリック、そしてロシアが影響力を持つ東南部はロシア正教徒でスラブ系が多数存在しています。

その3地域で対ロ感情・対ウクライナ感情は異なり、東部については、あまり報じられませんが、この戦争があったとしても、ロシア派と言えます。

先ほど触れた停戦案の中身は、恐らくこの3分割の現実と感情を反映したものと思われます。ロシア派である東部とクリミアを切り離し、残りの比較的ウクライナ派と、欧州との接続ポイントとなる親ポーランド勢力の南部を温存することで、ウクライナを独立国として維持するという思惑かと考えます。

この実現可能性は不透明ではありますが、その成否を左右するのは、プーチン大統領の受け入れ可能度合いがあります。

決して戦線としては楽勝とは言えず、国内経済の疲弊と厭戦機運の高まりは、何らかの出口を模索させるには十分な理由と思われるため、少なくともクリミアと東部を掌握することで、理由はともあれ、面目は保てると確信したら、この提案を受け入れる可能性があります。

ではゼレンスキー大統領はどうでしょうか?こちらも欧米からの支援が先細りし、次第にロシア軍に押し返される現状が明らかになるにつれ、国内外で迅速な停戦を促され始めていることから、自身の保身の有無は別として、とりあえず受け入れ、「ウクライナの独立を守り、国の存続は確保した」とでも謳って、停戦に合意するかもしれません。

そうなると出口が見えてくるのですが、戦場で生命を賭して戦ってきた戦闘員がそれを受け入れられるかどうか、そしてウクライナ側ではもともとはテロリスト指定していたアゾフ連隊が、この停戦に乗ることが出来るか否か、多くの不確定要素が存在し、その出方次第では、ゼレンスキー大統領の手を離れた次元でより激しい戦闘が行われたり、国内におけるクーデーターに繋がりかねない事態が表出したりするかもしれません。

ところでこの“停戦合意案”の内容、実は以前、中国が双方に提案したものに類似していると言われています。

私は申し訳ないのですが、その詳細を把握していないのですが、いろいろな方から「これは中国案をベースに揉まれた内容だ」との指摘が寄せられており、非常に興味深い状況を作り出しています。

問題は“これを欧米諸国とその仲間たちが受け入れるかどうか”なのですが、以前は中国による調停案というだけで頑なに拒否していた国々も、今回は国内外における対ウクライナ紛争に対する感情と見方が変化してきていることと、イスラエルとハマスの戦いの存在が、on-goingな紛争を一旦停止させたいという思惑を生んでいることもあり、もしかしたら“和平案”のサポートに回るかもしれません。

まあこれについては「知らんけど」と言わざるを得ないのですが。

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