完全に見捨てられたウクライナ…世界は「絶望しかない時代」に突入した

 

非常に危険な状態に追いやられている国際社会

今、ロシア・ウクライナに加え、イスラエル・ハマスの問題を抱え、その背後ではかなりの数の国際紛争を抱える世界は、言い換えると多くの世界戦争の引き金となりかねない案件を同時に抱え込み、安全保障環境維持のための仕組みが機能不全になりつつあると考えます。

ロシア・ウクライナ、イスラエル・ハマス、そしてアフリカで数多く継続している紛争、アゼルバイジャンの報復と野望、コソボで再燃するセルビアとアルメニアの主導権争い、不穏なアフガニスタン情勢、激しさを増すミャンマー情勢、トルコとシリア、イラク、イランが抱えるクルド人問題…どこかの火の粉が他の紛争に火をつけ、その戦火が広がり、延焼するような事態になった場合、もう安全保障体制の崩壊の炎の広がりをだれも止めることが出来なくなると思われます。

包括的な国際安全保障体制は、常に非常にデリケートなバランスの下、何とか和平と安定が保たれています。

どこかで火の手が上がれば、迅速に協力して火を消し、争いの理由・原因を一旦キャンセルアウトして、何とか安定的な状況に戻すという作業が通常は行われてきましたが、これだけ大きな紛争が世界各地で勃発してくると、このバランシング機能が動かなくなり、危機的な状況に陥ります。

「どの紛争からまず停止すべきか」

そのような質問をよくいろいろな場で尋ねられるようになりましたが、私からはあえて自身の考えを述べることは避けています。

それは答えを持っているからというよりは、恐らく私自身もわからないからだと思います。

武力によらずに戦争を解決できる状態を私は“平和”と呼びますが、少なくとも今はその平和的な状況はもう存在せず、非常に危険な状態に私たちは追いやられているように感じています。

もちろん、そのような中でも調停グループはしっかりと力を尽くします。

以上、今週の国際情勢の裏側でした。

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