2024年パー券疑惑で「自民大崩壊」か?ロッキード事件もリクルート事件も「辰年」の奇妙な一致

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パー券裏金疑惑で揺れに揺れる自民党。過去にも「政治とカネ」が幾度も問題となった自民ですが、そのたび党内若手から上がってきた改革を叫ぶ声が聞こえてこないと、メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』は指摘します。その原因はどこにあるのでしょうか。同メルマガでは今回、これまでの「自民党疑獄史」を振り返るとともに、自民党内で若手議員が声を上げられなくなった理由を考察しています。

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2023年12月25日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

上がらぬ「政治とカネ」の腐敗体質を糾弾する声。自民党内若手の衰退

ゲン担ぎが好きな永田町になぞらえると、来年の干支(えと)辰年は政界疑獄の年。ロッキード事件(1976年)、リクルート事件(1988年)など、いずれも自民党政権を揺さぶる事件は辰年に起きていている。現在、地検特捜部が捜査中の自民党派閥の「政治とカネ」は岸田政権を崩壊させる可能性が大きいが、過去の自民党疑獄と今回の事件とは大きな違いがある。それは党内から「政治とカネ」の腐敗体質を糾弾し、改革しようという若手議員の声が出てこないという点である。

ロッキード事件では1976年2月から国会で疑惑追及が始まり、その年の6月に新自由クラブの母体が発足。すでに自民党を離党していた河野洋平らと若手議員を中心に金権政治批判の自民党離党組が参加して12月の総選挙で17人当選(追加公認1人)。田中派支配に打撃を与えた。もっとも新自由クラブ内の路線対立で分裂をして自民党との連立後に解体していったが、新自由クラブが世論の金権政治批判の受け皿として機能したことは間違いない。

リクルート事件(1988年)では事件発覚後の自民党国対委員会で一年生の武村正義が、「事件究明をマスコミや司法だけに任せていいのか。自民党自ら調査をおこない、政治と金の問題に真剣に取り組むべきだ」と発言。これに呼応して同じく一年生の鳩山由紀夫、石破茂、渡海紀三朗ら17人が「ユートピア研究会」を立ち上げて党の執行部に提言を続けた。

その後自民党は金丸脱税事件なども発覚したために、「ユートピア研究会」は自民党を離党して「新党さきがけ」を結成。小沢一郎らの「新生党」、細川護煕の「日本新党」などと非自民勢力で政権交代を実現させたものの、小沢を軸とした政権内部の対立と、それに乗じた自民党の切り崩しによって政権は短命に終わった。しかし、当時の「新党さきがけ」が掲げた「憲法遵守、大国主義・全体主義を排して政治改革を進める」という理念は今でも通用する。

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