いじめ被害保護者を“モンペ扱い”の異常事態。学校や教育委員会の卑怯な「隠蔽手段」

 

WEB座談会終盤

とても活発な意見や情報共有が行われたWEB座談会であった。今回は第1回ということで、私が不慣れな司会進行をしていたこともあり、気が付けば2時間半以上も休みなく進めてしまっていた。

共通したことは、5つの代表的ないじめ隠ぺい手法は共通マニュアルがあると言っても過言ではないほど、被害側は手を変え品を変え経験しているということだ。

確かに3つの事件だが、少なからず全くの別地域で起きている隠ぺい事件であっても、同様の手口が確認できたわけだ。

そして、被害側という一家族は、学校や教育委員会など組織から敵視され、孤立化させられていく。

また、なぜか学校などの彼らには、学校か家庭かの2つの選択肢しかなく、悪者探しに自分が当たらないように、家庭のせいだとこじつけようとするのだ。

教育とは人を育てるものだろうが、この愚かな二元論は人の多様性を知らぬものが考えたとしか思えないだろう。極めて愚かで幼稚で人を知らぬと言えよう。

参加した3組は、とても有意義な時間で、同じ立場ということもあって深い話が出来てよかったと言ってくれたが、私からすると、想像を絶するほどのストレスと苦悩の中、それでも我が子の成長を喜びにしている皆様は尊敬に値すると思うのだ。

教育関係者の皆様にはぜひとも事実を知ってもらい、もしも自分が被害側の立場であったらどう感じるかということに想像を働かせてもらいたい。

そして、年間60万件を超えるいじめ認知数があり、これが氷山の一角に過ぎないと言われている現在、こどもたちもその親もいつ被害者に加害者になるかわからない中、事実隠ぺいが暴かれている事例や共通する隠蔽工作が行われていることを知ってもらい、これら解消事例の記録やその経験者がいることを知ってもらいたいところだ。

編集後記

まずは、今回WEB座談会に参加していただいた3組の被害保護者に御礼申し上げたいです。

貴重なお時間と経験、話しづらい事も話して頂き、本当にありがとうございます。

今回、長文になってしまいましたが、書ききれなかったことも多く、それについては次回以降ぜひとも触れさせていただきたいと思います。

さて、一個人、一家庭として被害側になると、金銭面の負担や精神的な負担など常に大きな負担を負うことになりますが、これに対する社会的な保障は今のところありません。

フリースクールに通うなど代案はありますが、フリースクールは料金がフリーなわけではありません。一般的にはそれなりの費用が掛かりますし、通学面での負担があるということも想定できます。それでも、フリースクールの存在はいじめ被害者とその家族の救いです。

今回も取り上げた現在特集中のいじめ隠ぺいの共通項に被害側経験者がその隠蔽工作の存在を認めているように、事実を隠そうとする事件がほとんど毎日のように起きているのが、現実です(今後、さらに取材をして証明していきますが)。

隠蔽をした者、加担した者は、「恥を知れ」と思います。

そして、責任感がひとかけらでもあるのなら、責任ある職ならば、ぜひとも職を辞し、誰にも迷惑をかけないように生きてもらえればと思います。

さて、いじめ問題については、加害者についての教育や更生プランはないに等しい状況と言えます。諸外国では罰せられることが多く、退学処分以外でも進学に不利になることもありますが、ほぼ放置という状態を日本が取っていることは、事実上、国すらも有効ないじめ対策をしていないと評価されても、ぐうの音も出ないでしょう。

そしてどちらかと言えば、日本ではいじめ自死が起きた場合や重大事態いじめが起きた場合、自治体や非被害者側(無関係な人たち)が必死に、「学校のせいか」「家庭のせいか」で考えています。

そういうアホな二択をするから、容易に対立が起きるわけです。そもそも、この二択のみで考えてはいけないのです。

多様性という言葉をご存じではないかもしれません。

そしてなにより、こどもの命の問題が起きているわけで、いつの間にか、最も主体であろうところが抜け落ちてしまうこともあります。

残念に思います。

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社会問題を探偵調査を活用して実態解明し、解決する活動を毎月報告。社会問題についての基本的知識やあまり公開されていないデータも公開する。2015まぐまぐ大賞受賞「ギリギリ探偵白書」を発行するT.I.U.総合探偵社代表の阿部泰尚が、いじめ、虐待、非行、違法ビジネス、詐欺、パワハラなどの隠蔽を暴き、実態をレポートする。また、実際に行った解決法やここだけの話をコッソリ公開。
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