いじめ被害保護者を“モンペ扱い”の異常事態。学校や教育委員会の卑怯な「隠蔽手段」

 

保護者はモンスターペアレンツ扱いとなり、保護者からは腫物とみなされ孤立させられるわけだ。

Aさん 「ママ友と連絡が取れなくなりました。それからしばらくして、新聞報道されると、ごめんなさいと謝りに来てくれた方もいました」

普通、保護者は学校や校長が嘘をつくとは思っていない。もちろん、つかない人もいようが、前提として、嘘をつくということは前例から考えて「ある」としていた方がいいだろう。

実際、私も各いじめ対応の事例をみれば、現地に入ってから同様の噂を耳にしたり、PTAの役員から忠告を受けたこともある。ほとんどは整合性のない話だから、嘘だなとわかるが、中には一定の証拠が整えられていて巧妙なものもあるし、被害側がひとり親家庭であったりすると、こどもが1人の時間が多いと誇張して虐待だ騒いでいるケースもある。

手段問わず孤立させようとする

Aさん 「神戸市18年間いじめ隠ぺい事件では、大金を脅し取られていたわけですが、金持ちのボンボンが使い込んだ言い訳をいじめに無理やりしているだけとか言われました。全くの事実無根ですが、そういう話が無関係の市議会議員から出てくるのです」

 

阿部 「確かにそういうケースは私も多く体験しています」

 

Aさん 「嘘も巧妙です。お父さんが体格が良ければ、虐待。多額の恐喝だと、何で気が付かないんだとお金にルーズな家庭だろうから、モンスターペアレンツだろうとか。単身赴任していれば、離婚したとか父親が愛人作って出ていったとか、だから、家庭に問題があるというように、とにかく家庭の問題にすり替えようとします」

 

Bさん 「確かにそういうのはありますね。付き添いするのが母親だと、父親は何をしているのだと言われてしまう」

 

阿部 「普通、仕事だろって思いますよね。でも確かに、何があっても仕事は休んで学校に保護者が来て話をするもんだと思っている世間知らずの先生は多いというか、そういう文化がありますね」

 

Cさん 「湖西市では、私の前では、いじめですと認め、加害者が常習で、他の子もやられていたという話をしていたのに、開示されていた文書をみると、真っ黒のマスキングだらけで、他の保護者には、あの被害保護者がおかしいんだって話してました」

【関連】暴かれたウソと壮大な開き直り。中2女子生徒が助けを求めた手を払いのける静岡県湖西市いじめ隠蔽事件の絶望

こうしたいわゆる隠蔽や被害家庭を狙って攻撃を仕掛けて孤立させていくケースは枚挙に暇がない。今後も各被害者に話を聞いていくが、ほぼ全員が同様の経験をしていると話してくれるだろう。

一方、Aさんからいじめ防止対策推進法が出来るきっかけとなった、凄惨ないじめ事件である大津いじめ自殺事件について、その後に行われた影響力工作ともいおうか、隠蔽と思われる話しが出た。

Aさん 「大津のいじめ事件では、大津市の教員が全国各地のシンポジウムに出向き、会場からの発言などとして、風評を広めるということがありました。実際、2012年8月に行われたシンポジウムの会場に私はいましたが、報道が過熱しているだけで、事実は被害者家庭に問題があるとパネリストが話すなどしていました」

 

阿部 「パネリストが…ですか」

 

Aさん 「詳しい資料が残っていれば送りますが、事実です」

 

阿部 「わかります。資料よろしくお願いします」

実際に当時、Aさんがそのシンポジウムの様子を伝える記録をみると、シンポジウムの演壇に並ぶ専門家というパネリストや会場の左右に配置された関係者が、「報道はやり過ぎ」「報道は嘘を書いている」「被害家庭に問題がある」と出来レースのように繰り返していたようだった。

その凄惨さから、連日全国報道がされ、注目が集まったいじめ事件である。隠蔽工作の規模も相当であったのだろう。

この記事の著者・阿部泰尚さんのメルマガ

登録で活動を支援する

print
いま読まれてます

  • いじめ被害保護者を“モンペ扱い”の異常事態。学校や教育委員会の卑怯な「隠蔽手段」
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け