いじめ被害保護者を“モンペ扱い”の異常事態。学校や教育委員会の卑怯な「隠蔽手段」

 

私も海南市のいじめ放置事件に介入しているので、その様子をみているが、海南市教委の極めて幼稚な嘘を自信満々に答える様子とそれを真に受ける市の関係者の様子は、笑えないジョークなのかと思えるほどだ。

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Cさん 「ウチも同じような被害を受けています。被害当事者から聞き取りができないと言って、いじめはなかったという非合理な対応も受けましたが、実際は担任との交換ノートでいじめの事を伝えているし、直接の面談もしています。それに、マスコミに私の連絡先を伝えず、嘘の情報を流し報道させるなどもしました。それをTVで私は観て、全然違いますと報道機関に連絡を取ることになりました」

 

阿部 「それから直接報道機関とやり取りを始めたわけですね」

 

Cさん 「そうです。途中からは録音もあったし、当初から記録はつけていましたが、1つ1つ箇条書きして、これには録音がありますなどマークを付けて、記者さんに手渡しました。すると、これの録音を聞かせてくださいなど報道機関から連絡があり、録音も聞いてもらって、市教委などが嘘をついていると記者さんたちは思うようになってくれました」

いずれにしても、保護者を含め、被害側を孤立させようと画策するというのは変わりはないだろう。つまり、5つの代表的な隠ぺい手段は、被害者を黙らせる常とう手段だと言えよう。

Aさんはさらに他の事例を話してくれた。Aさん自身、「全国学校事故・事件を語る会」にいて多くの被害者家族などと情報共有をしたり、助け合うなどをしている。

Aさん 「兵庫県立高校いじめ自死事件(川西市)では、自殺を『不慮の事故』にしようと持ち掛けられた。自殺者が家族にいると、兄弟姉妹の将来に影響が出ると言われることもよくある。これは暴力ですが、愛知県立高の野球部監督パワハラ自殺事件では、教師の体罰を口外しなければ、兄を県立大学に合格させてやるともちかけられたりしています」

 

阿部 「……」

 

Aさん 「私のところの話になりますが、いじめを口外すると、中学や高校に行ってもまたいじめに遭いますよと。さらに今度は妹さんがいじめに遭いますよ、とまで言って脅してきたというのもあります。女性を差別しているんでしょうね。校長は私には比較的紳士的な対応を取っていましたが、妻が行くとボロクソ言ってくる」

 

阿部 「わかりたくないという気持ちはありますが、私もいじめの対応をしていて、女性、お母さんへのあたりがやたら強い教師の対応はかなり目にします。セクハラまがいもあったし、録音聞いていて、これって脅迫だよねというのもよくあります」

 

Aさん 「うちの場合は、PTAを校長が利用して孤立させるということもありました。当時はまだSNSもなかった時代ですが、アリもしないことが一瞬で広まったのです」

校長はいじめ問題があるから黙っていても不安にさせるだろうと、PTA会長を呼び出し、実は被害側が言うようないじめではない、あれは自作自演だという内容を話して聞かせるわけだ。そして「ここだけの話にしてください」「誰にも言わないでください」とこのキーワードで釘を刺す。こんなことを言われれば誰でも人に話したくなるのが人の常である。

今度はPTA会長がPTA役員全員に、「ここだけの話にしてください」「誰にも言わないでください」と言って校長から聞いた話をするわけだ。普通のPTA役員には守秘義務意識などはない。あとは、予想通り、学校内の保護者や関係者には、尾ひれがついた形で噂が広がるわけだ。

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