林芳正官房長官の対応は「100満点で40点」
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各県の知事がTV等で陣頭指揮を取るのが、危機管理上は望ましい。だが、日本の場合はこれは「できていない」。その原因だが、コミュ力に自信のない首長が「選挙対策でコミュ力のある対立候補が出てこられては困る」などという「足の引っ張り合い」があるのではないか。
知名度や好感度を持っている候補はその分だけ「ズルい」のであって、自分はカネで対抗するしかない的な意識が、政治とカネの問題の背後にはある。この辺を突破するために、パブリックなコミュ力というのは、政治家にはマストということを徹底してはどうか。官房長官の職責は「問題なく」できた人物が総理になると自爆するという現象も防げる。
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官房長官ということでは、林芳正長官の会見は100点満点で40点ぐらい。ハシカンレベルは無理にしても、もう少しスキルを磨いていただきたい。これも危機管理のうち。質問に対して「ああ、ここだ」的に、用意された原稿の箇所を探しながら回答するというのは生と死の問題を扱う中では全くの不合格。
ちなみに、総理のコメントが遅れたのは正月気分の「成分」を抜くのに時間を要した可能性。この人の場合は仕方がないというのが武士の情けかどうかは議論の別れるところ。
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前後するが、緊急の危機対応で奔走されているのは、公務員だけではない。鉄道、船舶、バス・トラック、通信、電力、ガス、水道、食料、情報など、民間でも三が日に不眠不休で対応している方は大勢いる。
報酬と代休だけでなく、社会として、そうした方々への敬意をしっかり示すということは、今後の危機管理にとっても重要。
以上、第一報に接しての考え方をランダムに申し上げました。皆さまのご議論、今後の対応の中でご活用いただければ幸いです。
(※編註:この原稿は2024年1月2日6時50分に配信されたものです。最新の状況は所管省庁や自治体の発表をご確認下さい)
※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2024年1月2日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。
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