想像を超える深さで張り巡らされている低賃金・低学歴ニッポンという“根”
また、米国では「GAFA」が博士人材を大量採用し、新技術を生み出したことは広く知られていますが、アマゾン一社だけでも、経済学博士号をもつ専門家を100人以上も採用しているといわれています。
賃金にも博士号の価値は反映されており、博士号取得者の年収は学術機関で6万ドル(約680万円)、民間企業で10万ドル(約1,130万円)、行政機関8万5,000ドル(約960万円)で、米国全体の平均年収5万6,000ドル(約630万円)程度と比較しても優遇されているのです(2015年データ)。
かたや日本はどうでしょうか。修士課程と扱いはほぼ同じです。「だったら公務員から!」とばかりに、23年4月から博士課程を修了した国家公務員の初任給が年8万円引き上げられ、年収は約480万円で学士382万とは100万差、修士434万円とは45万円差になりました。
一部の企業では待遇改善を進めていますが、企業全体で見ると世界レベルには全く届いていません。
そもそも「高度人材!」という言葉は飛び交っているのに、博士号の価値を認めないとは、私には理解不能なのですが、「博士号取得者を採用しても、即戦力にならない」「年齢と給与が高いわりに手間ばかりかかってしまう」「博士号取得者はプライドが高くて、使いづらい」との声もチラホラ。
経団連は今回の調査結果を受け、企業には必要な専門性を備えた求める人材像を示し、職務を明確にしたジョブ型採用や通年採用を通じて多様な人材に門戸を開くよう呼びかけた、とのことですが…。
低賃金ニッポンで、低学歴ニッポン。“根“は想像をはるかに超える深さで張り巡らされているように思えてなりません。
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