平凡サラリーマンが「富裕層」に成り上がる大チャンス
しかし、サラリーマンは、「財テク」に走った企業や個人投資家とは違っていました。大チャンスが到来したからです。
金融機関は低金利でも、利ザヤを稼がねばなりません。
そこで、サラリーマンたちによる担保のある投資用不動産への貸し出しは、住宅ローンよりも金利が高く、悪くない貸出先となっていったのでした。
こうして2000年代に入り、今まで大きな借金をしていなかったサラリーマンたちが続々と借金をして、不動産投資に乗り出す契機となったのです。
サラリーマン不動産投資家が次々と生まれた背景には、こんな事情があったのです。
属性の低い(勤務先が脆弱で年収が低い)サラリーマンであっても、金融機関から低金利の融資を受けて、地方のアパマン投資に乗り出せば、「(家賃収入)-(ローン返済)=キャッシュフロー」という構図が成り立ちました(都内では土地価格が高く、利回りが低いので、地方都市近郊の収益利回りが10%以上のアパマン物件が投資対象となった)。
ゆえに、借金を増やしてアパマン物件を買えば買うほどに、サラリーマンとしての年収が400万円しかなくても、不動産投資でのキャッシュフローのほうは500万円、1千万円という人たちが続々と生まれていったのです。
そして、街の書店に行けば「不動産投資本コーナー」が大いに賑わい、「家賃年収5千万円」「家賃年収1億円」といった惹句で目を惹く書籍が続々と出版されるようにもなったのです。
もちろん、家賃年収5千万円とか1億円といったところで、ローンの返済額を除くと、差額の実収入はその2割~3割でしかありません。
しかし、そうであっても、サラリーマンとしての収入の他に、こうした不動産収入が、給与以外にいとも簡単にもたらされるという時代は、サラリーマンにとっては夢のような話だったのです。
不動産投資は、時間を味方につける投資ですから、アパマンの賃貸入居がうまく回っていれば、15年~20年と入居者の家賃収入で自分の借金返済が進むのですから、非常に魅力的な投資法と言えたでしょう。
「無から有を生む」がごとく、サラリーマンにもお金持ち・資産家になれる道が開けたのでした。
つまり、日銀の「超低金利政策」は、サラリーマンにこそ非常に有効な「資産構築」ができる時代を提供したわけだったのです。









