甘いどころか加害者天国。いじめた生徒が処罰されない日本の学校という異常空間

 

現状を変える力

「加害者をきちんと処罰の対象とできればいいのに」というのは、願望だろう。現在の環境でこれが実現されているところは、皆無と言っていい。

そうなると、「被害者が転校して、加害者のうのうと同じクラス同じ学校に通うのは異常だ」という意見は、その通りなのだが、現在のところ、異常がまかり通っているということになる。

積極的に変えていくのならば、声を上げてより多くの仲間を集めて、現状を変えていく運動をする以外に他に方法はない。「おかしいよね?」と声を上げることは重要だし、声を上げると共感の証も多く得るだろうが、現状に甘んじ提示しようとしている圧倒的に多いその世界の住人らは、これを一種のトレンドとしか見ていない。

声をあげるのが単発なら、放置していけば次の話題が来てしまうのだ。そういう積み重ねで、物事は風化し、また同じようなことが起きて声が上がっても、また別の話題が来て次に移ってしまう。日本は失われた30年とか言われているが、同じような仕組みで風化と声上げの繰り返しでもあろう。

つまり現状を変えるには、声を上げるのみならず、上げ続けることが大事であり、声を上げながらも同志を募り、その輪を拡げていく必要があるのだ。

そして、それは現状を変える原動力になるが、基本中の基本であって、さらに対策が必要なのである。

ちなみに、私は渦中の元座長から、エビデンスを持ってきなさい、政治が動くほどのエビデンスがいじめを取り巻く環境を変えるには必要だと5年前に直接言われている。だから、少しづつであるが、そのエビデンスをため込んでいる。

いつか現状が変わる日を目指して(ぜひとも被害者の皆さん、関係者の方々にはご協力頂ければと思う)。

編集後記

今いじめ問題で話題になっている自治体の担当課に取材を申し込んだところ、全ての質問に「検討中」との回答をもらいました。以後連絡についての担当者についても「検討中」とあったので、きっとコピペ回答ですね。

そこで、関係する議員に協力してもらったのですが、(担当課長)「ああ、これ、たぶん裁判になるんで、何も答える気がないんです。だって、それも証拠になっちゃうでしょ」とのことでした。おいおい…(汗)です。

裁判になるだろうと思ったら、その対策で開示請求などにもまともに応じないとは、公的機関としての役割も法も守らないという宣言に近いのではないかと驚いた次第ですが、ああ、日本って放置国家…いや法治国家なんじゃなかったっけと思わざるを得ないことが多くなってきましたね。

残念です。

以前から私は、今のいじめは異常だよね?というマスコミさんからの取材に、こどもは大人世界の写し鏡のようなもの、異常さを取りあげる前に、大人社会の異常さを取り上げてタブーにメスを入れしっかりと報道としての職責を果たす方が先。大人社会が襟を正すべきだと言っています。

自治体がこんなこと平気で言えるのも、それ詭弁ですよねというのを政治家が平気で言うのも、それを擁護しちゃう御用達専門家が幅を利かせるのも、その異常がすべてこども社会のいじめに反映されているはずです。

だって、大人が間違ったことをやっていて、自分を棚に上げて、こどもだけを叱るって腑に落ちないではないですか。説得力ゼロだし。

私からすると、例えに使えるので、まあまあ利用させてもらっているわけですが、明るいのは株価だけかな。とか思ってしまいます。

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社会問題を探偵調査を活用して実態解明し、解決する活動を毎月報告。社会問題についての基本的知識やあまり公開されていないデータも公開する。2015まぐまぐ大賞受賞「ギリギリ探偵白書」を発行するT.I.U.総合探偵社代表の阿部泰尚が、いじめ、虐待、非行、違法ビジネス、詐欺、パワハラなどの隠蔽を暴き、実態をレポートする。また、実際に行った解決法やここだけの話をコッソリ公開。
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