来たる花~今週(3/11~3/15)の世界経済・市場の動き について
<諸材料は事前見通しでは市場を大きくは動かしにくいか、引き続き日銀の金融政策に注目する向きが多く、市場は神経質な動向>
(まとめ)
今週は材料はそれなりにありますが、事前予想値から極端にかけ離れた結果にならない限りは、市場がそれで大きく動きそうにありません。
春闘の大手企業の賃上げ率の回答がかなり出そうなので、引き続き日銀の金融政策が注視され、円高方向に振れるように見込みます。
(詳細)
今週は材料自体は多いです。
日本の経済統計では、3/11(月)公表予定の10~12月期のGDP統計改定値で、実質経済成長率が上方修正され、前期比マイナスからプラスに改定されそうだ、という点は、「過ぎし花」で述べました。
米国の経済統計で主要なものは、次の通りです(日付は発表日、すべて2月分の統計、カッコ内は(1月実績→2月市場予想))。
- 3/12(火)消費者物価指数(CPI)(前年比:3.1%→3.1%)
- 3/14(木)生産者物価指数(PPI)(前年比:0.9%→1.2%)
- 同日 小売売上高(前月比:0.8%減→0.7%増)
- 3/15(金)鉱工業生産(前月比:0.1%減→横ばい)
物価指標はインフレ率の低下に時間がかかりそう、という足元の市場の認識が裏打ちされると見込まれます。小売売上高は1月分が予想比かなり下振れしましたので、2月はその反動増だと解釈されるでしょう。
3/11(月)には米大統領の予算教書が公表され、バイデン政権の経済政策の骨子が示されます。ただ、主軸は、先週の一般教書演説で示されたように、経済格差の縮小を主眼に、企業や富裕層への増税策となるでしょう。
とはいっても、そうした増税策が実際に実施されるかという点については、現在の米議会は11月の選挙もにらんで対立を深めており、(増税策のみならずほとんどの経済関連法案が)議会で成立しにくいものと見込まれます。
これまで述べてきたような材料が、世界市場を大きくは揺るがしにくいと想定されるなか、日本では3/12(火)~3/14(木)を中心に、春闘における組合側の要求に対し、大企業の経営から回答がなされる見込みです(連合はそれらを集計して、3/15(金)に発表する、との観測があります)。
2023年度の賃上げ率(厚生労働省による集計対象企業)は、定期昇給とベースアップを合わせて3.6%でしたが、EPSフォーキャスト(日本経済研究センター)によるエコノミストの予想集計値では、2024年度は3.8%の賃上げが見込まれていました。これに対し連合は、加盟している労働組合の平均で5.85%の要求を行なっていると公表しており、3.8%を超えてこの要求賃上げ率に近い回答になるほど、来週の日銀の金融政策変更に向けての期待が強まり、円高が進むものと予想します。
さらなる今週の注目点は、先週から始まった(と筆者は考える)主要国の株高や円安の自律崩壊が、当面どのくらい続くか(最終的には市況の上下動を伴いながら、それなりの期間、それなりの幅、株安と円高が進むと見込みますが)、特に先週末から「始まった」エヌビディア頼みの半導体関連株の株価の崩れがどう進行していくのか、といったところでしょう。
ちなみに、3/8(金)のシカゴ日経平均先物の終値は38825円で、今は先物は先行して3月期末の配当落ち(230円幅か)を反映しているので、今週初滑り出し(3/11、月)の日経平均の現物指数は、38825+230=39055円辺りに下押しして始まりそうです。
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