3.中国経済そのものがバブルだった
中国経済は実体以上の評価を受けていた。世界第2位のGDPも、借金によるインフラ投資、先進国の下請け組み立て工場、コモディティ商品の輸出等に支えられていたに過ぎない。これらはどれも先進国に依存していた。先進国からの投資、先進国からの発注、先進国への輸出が中心であり、先進国との縁が切れれば中国経済は成立しない。
最近になって、中国は先進国以外の新興国、発展途上国を重視するようになった。しかし、先進国との貿易ほどの利益は期待できない。また、これらの国々は中国の競合相手でもある。
中国の経済成長が下落しても、借金がなければ回復することは可能だ。しかし、中央政府も地方政府も金融機関も民間企業も、巨額の借金を抱えている。中国人民も不動産ローンを抱えている。不動産を所有していない農民工、若者は借金がなくても仕事がない。
考えてみれば、中国の経済全体がバブルだった。不動産バブル、投資バブル、輸出バブル、製造業バブル、そして一帯一路バブル。どれも過大評価がなされ、世界も中国自身もそれを信じたのだ。そして、巨額の借金を重ねていった。
10年以上前、私は中国の友人に「中国の不動産バブルは必ず崩壊する」と言ったことがある。しかし、「そう言われても、中国の不動産価格は下がったことがないので、誰も信じないよ」と返された。今にして思えば、政府も企業も個人も借金を返済して、自己資本を蓄えることを優先すべきだった。バブル経済は経験しないと見えないのである。
編集後記「締めの都々逸」
「借りたお金で 贅沢しても 泡銭なら 消えていく」
世界にはお金が余っているンですね。「あそこに投資すれば儲かるよ」という評判が立てば、そこにお金が集まります。お金が集まれば経済は成長します。経営者が偉いわけでもないし、政治家が偉いわけでもありません。単にお金が偉いのです。
このお金中心の体制から抜け出す。そうしないと、嫌な人間になってしまいます。GDPなど追いかけていると幸せにはなりません。大切なのはお金より幸せ。そして、幸せとは心の持ちようです。お金の持ちようではありません。(坂口昌章)
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