統一教会に特大ブーメラン。自らの身に訪れた霊感商法勧誘トークで使う「因果応報」の罰

 

3.念書に署名させられたことによる1審、2審の敗訴判決が覆される可能性が出てきた

被害者家族である中野容子さん(仮名)の高齢の母親が約1億円もの献金をして、返金の裁判を起こしましたが、信者時代に旧統一教会に対して「返還請求や不法行為を理由とする損害賠償請求など、裁判上・裁判外を含め、一切行わないことをここにお約束します」との念書に署名をさせられて、教団側はその様子をビデオで撮っていたことで、1審、2審とも敗訴しています。しかし中野さんは諦めずに最高裁に上告しました。

今年年6月10日に最高裁判所は、2審(高裁)の判決の変更に必要な手続きである、弁論を行うことになりました。これにより、地裁、高裁で判断された敗訴の判決が見直される可能性が出てきました。先日、この件を受け手、国対ヒアリングも開かれましたので、その内容も記事としてアップ致します。

4.司法の場でも、宗教被害に関する風化が進んだのではないかとの弁護士の指摘

最高裁で判決が見直される可能性が出てきたことを受けて、紀藤正樹弁護士は「この問題については、2020年前後に同じ(念書に署名をさせられた)事案に関して、結論が分かれる判例がいくつか出てました。オウム真理教事件が1995年に起きてからは、カルトに対する問題点についての国民的な理解が進んで一定程度、判例にも統一教会の実態について理解を示す判例が増えたわけですけども、2010年後半から同じ事案なのに、過去の判例との結論が異なるという、ブレるものがいくつか出てきたんです。合意書とか念書とかそういうものがあっても、勝った事例と負けた事例があるんですね」といいます。

さらに同弁護士は「私は、(この問題は)宗教問題、宗教被害に関する風化じゃないか。政治や我々の社会の風化だけじゃなくて、宗教被害問題に関する理解に関して裁判所でも風化が済んだと思うんです。今回、最高裁が弁論を開くというのは、まさに風化に対する自分たちの反省を込めて再開したと考えてまして、裁判所は同じ事案に関して、あるいは同じ実態を持つ宗教被害に関して結論がブレてしまうこと自体が、被害者から見たら公平感がないわけで、法の公平性に反するわけです。良い判決が出ることによって、宗教的被害をめぐる事件に関する楔(くさび)を打っていただきたい」とも話します。

旧統一教会の問題は、社会、政治だけでなく、司法の場でも風化が進んできたという指摘です。被害の実情、そして教団の悪質なお金集めの実態について、しっかりとその事実を見ての司法判断が求められます――(この記事はメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』2024年3月28日号の一部抜粋です。続きは、ご登録の上お楽しみください、初月無料です)

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悪徳業者などへの潜入取材した数は100ヶ所以上。数々の現場経験と被害者への聞き取り取材から、詐欺・悪質商法に詳しいジャーナリストとして一線で活動し、多数のテレビ・ラジオに出演している。現在はヤフーニュースのオーサ・公式コメンテーターとして、コメントやニュース記事を執筆中。消費者庁「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」(2017年~18年)の委員も務めた。雑誌「ダカーポ」にて、悪徳商法に誘われたらついていく連載を担当。それをまとめた著書「キャッチセールス潜入ルポ~ついていったらこうなった」(彩図社)はフジテレビで番組化され、ゴールデン枠の特番で第8弾まで放送された。新刊11月予定「信じてみたら、ダマされる。~元統一教会信者だから書けたマインドコントロールの手口」(清談社清談社Publico)

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