イスラエルとイランの戦いにアメリカが参戦。バイデンは“中東大戦争”を望んでいるのか

 

この読みが事実だとすれば、イスラエルは、イランの核施設を攻撃し、イランの核兵器保有を止めようとするでしょう。

 

しかし、イスラエルがイランの核施設を攻撃するためには「口実」が必要です。「真珠湾攻撃」「ロシアのウクライナ侵攻」「今回のハマスによるイスラエル攻撃」などなどを見てもわかるように、「先制攻撃は評判が悪い」のです。

 

だからできれば、「イランがイスラエルを先に攻撃したので、イスラエルはやむを得ずイランを攻撃した」という形にしたいでしょう。

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さて、これに関連してイスラエル軍は4月1日、シリアのイラン大使館を空爆し、13人を殺害しました。『テレ朝ニュース』4月3日付。

1日、ダマスカスにあるイラン大使館の建物がイスラエル軍によるとみられる空爆を受け、イランの国営メディアによりますと、これまでに少なくとも13人が死亡しました。

イランの最高指導者と大統領は、報復を示唆しました。

最高指導者のハメネイ師は2日に声明を出し、「この罪を犯したことを後悔させる」「邪悪な政権は我々の勇敢な者の手によって罰せられるだろう」などとイスラエルへの報復を示唆しました。

 

また、イランのライシ大統領も攻撃が「非人道的な侵略で、国際規則の明白な違反」だと非難し、対抗措置を取ると述べました。

この件、普通は「なぜハマスと戦うイスラエルは、イランを攻撃して戦線を拡大するのか、意味がわからない」となるでしょう。しかし、目的は「イランの核兵器製造施設破壊」なので、戦線を拡大しなければならない。

次に、「イスラエルが先制攻撃したら評判が下がるのでは?」という疑問はあるでしょう。この事件だけ見ると、イスラエルが先制攻撃したような印象です。

しかし、まずイスラエルに先制攻撃をしたのは、イランの勢力下にあるハマスです。そして、同じくイランの勢力下にあるレバノン・ヒズボラ、イエメン・フーシ派などがイスラエルを攻撃している。イエメン・フーシ派は、紅海を通過する商船を攻撃しているため、国際社会から敵視されています。

ですから、「はじめたのはイスラエル」とは言えません。

イスラエルがシリアのイラン大使館を空爆しても、国際社会は「どっちもどっち」としか思わないでしょう。それよりもイスラエルの問題は、ガザで大量に民間人が犠牲になっていることで、国際世論が冷たくなっていることです。

もう一つ、「イランが核兵器保有を目指していることを知っているなら、なぜアメリカは国連安保理で議論しないのか?」という疑問も出るかもしれません。アメリカは、イランの核問題を国連安保理で議論したくなのです。

なぜ?対北朝鮮の失敗を繰り返してしまうからです。北朝鮮の後ろには中国とロシアがいて、制裁を強化することができません。常任理事国中国とロシアが、拒否権を使うからです。

イランの核問題を国連安保理で議論し、制裁を科そうとしても無理でしょう。中国とロシアが拒否権を使ってイランを守るからです。

アメリカは、イランの核兵器問題を、「国連安保理」を通さずに解決しようとしている。つまり、「物理的に破壊すること」です。

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