6月解散を見据えての「麻生・トランプ会談」か
この安倍氏のトランプタワー「立ち寄り」と比較しますと、とにかく今回の麻生氏の行動は稚拙です。
何よりも、先ほど議論した、現政権に不快感を与えるということでは、早速そのようなメッセージが出ています。
それ以前の問題として、先方との関係でも、前回とは違って、日本としては「弱みを見せている」のは明らかで、その中心には「安保体制を切られる」ことへの恐怖があることまで見透かされている可能性が大であるからです。
麻生氏の行動は、全くの独断専行ではなく、当然ながら岸田総理も承認している話だと思いますが、では、どうしてこの時期に拙速に動いたのかというと、とにもかくにも補選対策なのだと思います。
今回の衆院補選は、結局のところ長崎3区だけでなく東京15区も不戦敗を選択したので、島根1区に勝負がかかった感じです。
この島根で勝ちたいので、「自民党はもしトラ対策ができている」ということをアピールしたいのかもしれません。これに加えて、恐ろしいことですが、岸田氏の周辺には、島根を死守したら、その勢いで6月に都議選とダブルで解散総選挙という構想もあるようです。
その場合には、やはり有権者としては「もしトラ」対策ができているかという問題には関心を向ける時期であるので、そこから逆算して、この時点で訪米して「トランプとの会談」を模索したということなのだと思います。
どうして麻生氏かと言うと、岸田総理本人ではさすがに現職への礼節に欠けますし、つい2週間前に国賓待遇での接待を受けながら、それは出来ないでしょう。
また、その他の官僚でも存在感はないし、自民党内でこうした対応のできる人材も見当たらないということから、麻生氏ということになったのだと思われます。
そんなわけで、16年の安倍氏の行動と比較すると、効果は極めて限定的。特に、下手に出ている印象を与えるので、今後の展開に危険性を上乗せする可能性も怖いです。
ですが、瀕死の自民党、瀕死の岸田政権としては、選挙対策として「できることは何でもなりふり構わず」ということなのでしょう。
その意味で、合理性はゼロではないし、仮に野党が批判するとしたら、「もしトラ」に関する代案を用意したうえで発言すべきとも思います。









